永遠の魅力ーグルメ天国 中国の郷土料理
美食民族が練り上げた世界一の味
その材料といい、調理法といい、その味といい、世界で最も優れた料理であるといわれる中国料理の歴史は極めて古い。
中国で生まれた独特の料理であるから、北京原人がその元祖中の元祖かもしれないが、紀元前5ー8世紀の春秋時代にはもう既に世界で最も進んだ料理となっていたのである。 その頃の世界文明のもう一方の雄であったギリシャでは、「なま」で食べるか、または「焼く」ことしか考えなかったが、同時代の漢民族はすでに「蒸す」とか「煮る」ことも知っていたのである。食べることに関して漢民族はいかに熱心に工夫をこらしていたかがうかがえるのである。
料理の方法を研究して美味しく食べることに情熱を燃やしていた漢民族は、今の表現でいえば、美食家であったといえる。その美食家が数千年の時間をかけて練り上げたのが中国料理である。中国では裁縫は女の仕事、料理は男の仕事というように分かれていた。「食」の楽しみ方は男の手に任されていたのである。
宮廷でも料理人の地位は高く、医師と同格か、時にその上でさえあった。このように料理人が厚遇されていたことが優秀な料理人を生み出すことにつながり、また、同時に、料理法や材料などに縦横な発想を試みる環境に恵まれていたことは確かである。美食家漢民族の優れた料理人たちは、清の時代にはすでにその中国料理を現代と同じレベルにまで完成させていたといわれている。