永遠の魅力ーグルメ天国 中国の郷土料理
ヨーロッパにフランス料理、イタリア料理、ドイツ料理、ロシア料理など多く種類があるように、広大な中国にも気候や風土や産物の異なる地域によって北京料理、上海料理、南京料理、広東料理、潮洲料理、客家料理、福建料理、四川料理・・・など、地域によりそれぞれ特色のある味わいが培われてきた。
隋時代になって運河ができ南北の交流が容易になってからは、他の地域の材料や香辛料なども使われるようになり、料理もますます多彩なものとなっていったのである。しかしながら、その地域の伝統的な料理法などはしっかりと守られてきて、純粋な形で今日に伝えられている。それは、その地域に土着した郷土料理ともいえるのである。
先に引用したヨーロッパの例のみならず、狭い日本でも、例えば東北と関西の料理ではかなり趣を異にしている部分があるのであるから、広大な中国ではそれらの郷土料理も、南と北、沿岸部と内陸部では材料、調理法などに大きな違いがあっても不思議ではない。 このさまざまな郷土の味は、観光客にとっては大きな楽しみであり、あらゆる地域の中国人が集まっている香港では、それらを容易に食べ比べできるのは幸いである。
ただ、一口で郷土料理の違った味わいを楽しむといっても、それは容易なことではない。中国料理には主なものだけでも8つや9つの地域別の系統があるのである。現在の香港観光のパターンである3泊4日では夕食は3回しかなく、昼食も多くて3回である。昼、夜、全部中国料理をとるとしても6回の機会しかなく、かりに食事ごとに違った系統を試みるとしても、6つの系統しか経験できないのである。
そればかりではない。同じ系統でもレストランによりそれぞれ自慢の味があり、「うまい店」と名が通っているところだけでも数限りなくある。それに加えて香港独特の、デイムサム(点心)とよばれる、いわば中国式スナックとお茶を楽しむヤムチャ(飲茶)や精進料理にまで対象を広げるとなると、1度や2度の香港観光では勿論、例え10回訪れても到底香港の中国料理を味わい尽くせるものではない。このような「尽くせぬ魅力」は香港の大きな観光的資産であり、何時までも人々を香港に引き付け続けることになろう。