永遠の魅力ーグルメ天国 中国の郷土料理
中国の郷土料理を楽しむ
中国で最も古くから開けた黄河流域を代表する料理である。北京は中国の首都として栄えていたため、中国各地から「我こそは・・・」という腕自慢の料理人達が北京にやってきた。その中でも特に優秀な料理人達が宮廷料理を完成させていったのである。従って調理の技術は最も進んでいた筈である。
北京料理と呼ばれる料理の多くはこのような極めて高級な料理から生まれてきたが、今日の北京料理はその宮廷料理そのものではなく、それに北方料理が混ぜ合わされたものであるという。
北方料理が入ってきたのには理由がある。北京を首都とした王朝は明王朝を除けば、遼、金、元、清と、いずれも満州族や蒙古族の王朝であったため、都の料理とはいえ、北京料理はそれら北方民族の影響を強く受けたのである。
北京周辺では、米のご飯よりも麦や雑穀から作った麺類とか饅頭やギョウザ(餃子)類を主食としており(南の方では米を主食としている)、どちらかというと魚料理よりも肉料理に特徴がある。北京は寒い地方なので、料理には油を多く使用しているし、味付けは比較的濃く、ピーマンやニンニク、ショウガ、大葱、香草などの香りの強い材料が好んで使われる。
北京料理の代表的なものは、何といっても、あのペキンダック(北京鴨)であろう。例の、世界に名高いアヒルの丸焼きである。
余談ではあるが、これに使われる北京原産の「填鴨」は、その肉用に供するための飼育法もまた独特である。孵化してから50日ほどたち、羽が出始めた頃を狙い、「填」という字が示すとおり、アヒルの胃袋に無理矢理に餌を詰め込むのである。そのために特別の器具を使ったりする。しかも何時も、暗くて、かつ、体を動かせない狭いところに閉じこめておくという。半月ほどたつと、栄養過剰と運動不足で、アヒルには軟らかい脂肪がつき丸々と太り、その大きさも初めの倍ぐらいになるそうである。肉よりも皮を食べるために強引に「作られる」アヒルに哀れみを禁じえない。
調理法もまた手が込んでいる。皮と肉の間に空気を入れて膨らませ、体の表面にアメを塗って日光にさらしてから、特別のかまどで表面をこんがりと茶褐色になるまであぶり焼きをする。その焼きあがった脂肪の多い皮を、薄餅に味噌をつけ薬味を添えたもので包んで食べるというものである。そのパリパリとした香ばしい味は北京料理の中でも絶品中の絶品といえよう。
皮を食べた後の肉の方はどうなるのだろうという疑問が残る。それはチャーハンの具に使ったり、骨でスープをとったりするのである。このペキンダックは普通1羽で6ー7人が楽しめる量がある。2、3人ではちょっと食べきれないというのが難といえば難であろう。
こんな料理も北京料理の1つである。もともと遊牧民族である蒙古人の料理だが、日本のシャブシャブのように、ぐらぐら沸騰しているお湯に肉(羊肉が主流だが、牛肉、豚肉、鶏肉も使われる)とか海老、貝柱、それに野菜などをさっとくぐらせ、好みのたれで食べる鍋料理である。
シャブシャブと違うのは、自分専用の小さな金網が鍋の中にぶら下がっており、お湯をくぐらせる間、箸でつまみっぱなしにしていなくても、その金網の中に入れておけば、人に横取りされる(?)心配はない。
その他、同じような材料を鉄板焼にして楽しむものもある。北京料理は大体、揚げ物、炒め物に名菜が多く、全般的に上品な味付けで、また味噌のおいしいことでも有名である。