南極観光3つのコース

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 第2のコースは、第1のコースにロス海のクルーズをプラスしたものである。
船は南極半島の太平洋側を西に向かって進み、ニュージーランドの真南方向に位置するロス海へと向かう。ここのハイライトは何といっても、表面が真平らなロス棚氷だ。

 大陸の中心から流れ出た多くの氷河がひとつになって、海に浮かぶ平坦な氷の大陸をつくる。その厚さは、300メートル以上にものぼるといわれ、海上に出ている部分は、30メートルの氷壁となって垂直にそそり立つ。さながら人間を寄せ付けない、城壁のようだ。 明治42年に南海丸ではるばる日本からやってきた白瀬晶隊は、この氷の壁によじ登り、南極点を目指したが、悪天候に阻まれ無念の涙を呑んだという。

 ロス棚氷を楽しみながら更に西に進むと、棚氷の端にあるロス島に到達する。ここでまた、不思議な光景に出会うことになる。活火山の出現だ。

 棚氷が盛り上がったような氷の山であるエレバス山(3794メートル)はからは、もうもうと噴煙が立ちのぼり、白い大陸の熱い火山活動の一部を体験することになる。
山の麓には、今世紀のはじめにシャクルトン、アムンゼン、スコットの各探検隊が越冬したが、その越冬用の小屋が南極探検の史跡となっていまでも大切に保存されている。

 同じ山麓には、近代的な米国のマクマード基地やニュージーランドのスコット科学基地があって、私たち観光客でも訪問することができる。
夏の間は、科学者から軍人にいたるまで1,000人以上もの大部隊が駐在することになるというから、ちょっとした町が出現することになる。越冬隊も100名以上になるというから、スコット隊が決死の覚悟でやってきた頃と比べると、正に隔世の感である。このポイントは南緯77度、船で南極大陸の一番奥に入り込んだことになる。

 ロス海を挟んで対岸に位置するドライバレー地区は、冬でも雪が積もらないという南極にあって最も南極らしからぬところである。谷を伝わってくる氷河もここでは溶けてしまって、いたるところに地肌がのぞき、ニュージーランドや日本、米国の科学者達がその原因を突き詰めつつあるというが、いまもって「南極の謎」とされているところだ。

 船はここでUターンし、北への航路をとることになるが、またしても南緯75度から65度にかけての暴風圏通過が待っている。まず中途半端ではない。このため寝ている間にベッドから放り出されることもあるというが、運が良くてもまず船酔いは避けられないと覚悟すべきだろう。私の知人の中には、全然船が揺れなかったという経験の持ち主がいないわけではないが、折角の南極探検クルーズなのだから、いろいろな体験をした方が、楽しいと思う位の気持ちを持ちたい。

 船は、更に北上してニュージーランドかオーストラリアの港に入るが、期間は合計、約1カ月に及ぶコースなので日本からの参加者はまだ少ない。


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