<香港スタイル> 新型コロナウイルスとの戦い
ハイテクを駆使した安全性の確保
世界でも有数の効率性を誇る香港の公共交通機関。現在の状況を踏まえて、鉄道、バス、タクシーでは、利用者が安心に利用できるよう、徹底した除菌作業を行いながらサービスを提供している。
その先頭に立つのが「MTR」だ。最近は過酸化水素ガス(VHP)ロボットを活用し、車両や駅の徹底的な除菌を実施しており、券売機やエレベーターのボタン、手すりなどの接触頻度が高い箇所は、2時間毎に漂白剤で消毒を行い、車内のエアコンのフィルターも頻度をあげて洗浄と交換作業を行っている。
また、アジアを代表する「香港国際空港」では、紫外線技術、360度スプレーノズル、エアフィルターを組み合わせて細菌やウイルスを除去するインテリジェント殺菌ロボット「ISR」を投入。この技術は香港で開発されたものだが、これまでは病院でしか使用されていなかった。香港国際空港は世界初となる非臨床現場で「ISR」の使用を開始した空港となっている。
タクシーやバスでの安全な乗車への取り組み
一方、タクシーでは乗客の安全確保のため運転手がマスクを着用。運転席の後部に消毒液の入ったボトルが取り付けているタクシーも多い。また、2階建てバス(KMB)にもバス車内や停留所に消毒液を設置している他、フロアマットに漂白剤を染み込ませて乗車時に靴が消毒できるような対策が取られている。
中止となったイベントのクリエイティブな解決策
今回の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、香港でも多くのアートフェアや展示会がキャンセルに至っているが、現在は主催者が工夫を凝らし、混雑を招くことなく集まりが楽しめるようにしている。
世界的に有名な「アート・バーゼル香港 2020」は、物理的な展示をオンライン・ビューイング・ルームへと転換。世界各地の235のギャラリーから2,000点以上のアート作品を集め、オンラインで展示を行った。このオンライン・ビューイングには25万人以上の来訪があり、大盛況のうちに幕を閉じた。
また、同じく大規模なアートフェアである「アート・セントラル」は、500点以上の作品をアーティスト、出展者、サイズ、価格、ジャンル別に簡単に検索できるウェブサイトを構築し、オンライン販売を行っている。
その他にも「K11アートファンデーション」「サザビーズ香港」「M+ コレクション ベータ」などにもバーチャルギャラリーがあり、アートコミュニティを保ちながら、家でもアートが楽しめるようになっている。
芸術の救済活動
「アジア・ソサエティー香港」は、香港アートギャラリー協会と提携し、国内外のギャラリーからの作品を集めた彫刻展を開催している。また、新型コロナウイルスの影響による空白を埋めるため、地元のコミュニティ・プラットフォーム「アートパワー香港」を立ち上げ、オンライン上での刺激的なアートイベントを開催したり、コミュニケーションを図っている。
香港ブランドのユニークな試み
ライフスタイルブランドの「G.O.D.」のダグラス・ヨン氏は、ブランドの遊び心を大切にしながらも、新型コロナウイルス流行の中での前向きな姿勢を保つため、カラフルな布製のマスクを発売した。
ダグラス氏は「もちろん、ただのファッションマスクですが、今の状況下でのストレスを軽減するためにユーモアを消費者に届けたいと思っています。私はこれからも、人々が前向きでいられるように、より多くの機能や革新的なデザインを考え出していきたいと思っています」とコメントしている。
「G.O.D.」の工房で作られたこの再利用可能なマスクは、世界的なマスク不足を補うだけでなく、ブランドの職人たちの働く場に貢献もしている。フィルターをセットするポケットが付いたこのデザインマスクは、普段使いにも使えるエコなアイテムとなっている。
力を合わる香港の団結力
数々の革新的な対応と積極的なアプローチにより、香港の感染は比較的緩やかに推移し、最小限に抑えられている。
先が見えない日々が続く中、香港の人々は情熱とコミュニティ精神を持ち、困難な状況に立ち向かっている。そうした団結こそが <香港スタイル> なのである。