ドイツ、厳しい状況は続くもコロナ後は好予測 渡航規制緩和後は早期リカバリーに期待
会の冒頭では、ドイツ観光局アジア・オーストラリア地区統括局長の西山晃氏が、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により自由な渡航再開が見込めず、世界中の旅行業界関係者が苦しんだ2020年を総括。「ドイツのインバウンドツーリズム」「日本市場の分析」「ドイツのイメージ」「現在実施中のキャンペーン」の4つに焦点を当て、ドイツ観光の現状と今後の見通しについて発表した。
ドイツは「世界人気旅行先 TOP10」にランクイン
2020年、新型コロナウィルスの影響による厳しい状況下にあっても、常に力強いメッセージとポジティブな要素を発信してきたのがドイツ観光局だ。
その一つが、ドイツの好調なインバウンドツーリズムである。ドイツは2019年、訪独外国人宿泊数において10年連続で最高となる8990万泊を記録。さらに同年12月の宿泊数は、12月としては歴代最高となる110,512泊を更新した。
だが、その状況は世界に蔓延する新型コロナウィルス感染症の影響により一転。2020年1月から7月までの宿泊者数は前年比で71%減という厳しいデータが突きつけられる形となった。
そうした中、ドイツ観光局がコロナ後のリカバリー予測(出典:Tourism Economics, Travel Scenario Analysis)を発表した。その内容は、
- インカミングツーリズムの状況は、この先数ヶ月は不安定
- (第2波により)さらに多くの国と地域が危険地域に指定される
- ドイツでは感染再拡大により規制が強化
- 回復には当初の予想よりも、さらに時間がかかる
という厳しいもので、今後はドイツへの出張旅行の減少が予測されることから、2023年になっても宿泊数は2019年の86.4%にしか見込めないとしている。また、「グループ旅行の減少と個人旅行の増加」と合わせ、その旅のスタイルも 「ヨーロッパ周遊ではなく、一ヶ国を訪れる旅行」が主流になると分析している。
日本市場においては、2023年には125万泊(2019年比で4.0%増)までリカバリーするとの好予測が示されたことから、日本は中国やアメリカ同様、今後もロングホールの重要市場の一つに位置づけられ、追加予算も決定しているのだという。
そうしたドイツのインバウンドツーリズムを強く後押ししているのが、「国家ブランド指標」で第1位となったドイツの総合力。また、NBI指数においてもドイツは優れた医療システムと危機管理イメージが強く、「今後5年、安全で快適に訪問できそうな国」のトップに輝いた。第2波が続く厳しい状況の中でも、早期リカバリーが高く望めるデスティネーションである。
順調に成果を上げるSNSでの共感キャンペーン
旅行業界向けセールス&マーケティング、およびマスコミ向け広報活動において、積極的にデジタル化を進めてきたドイツ観光局は、この春の緊急事態宣言後はテレワークを素早く実施し、一連のプロモーション活動にもオンラインでスムーズに対応してきた。
そうした中で順調に成果を上げているのが、ソーシャルメディア上でグローバルに展開する共感キャンペーン #DiscoverGermanyFromHome だ。
どこからでも楽しめるこの「ドイツ発見の旅」は、同局の公式Twitterアカウントを中心に展開。フォロワーはすでに10万を超え、在日外国政府観光局系アカウントとしては最大のコミュニティを誇っている、と西山局長は胸を張る。
#DiscoverGermanyFromHome で特に反響が大きかったのは、ドレスデンにあるギネス認定の「世界一美しい牛乳屋さん」。ビレロイ&ボッホのタイルで埋め尽くされた宮殿のような店内を、3Dで探索できるウェブサイトも紹介された。それにケルン郊外にある世界遺産の「アウグストゥスブルク宮殿とファルケンルスト宮殿」、ワイマールにあるこちらも世界遺産の「アンナ・アマーリア公妃図書館」、ベルリンから1時間ほどの場所にある水郷「シュプレーヴァルト」などが続いた。
当初、この共感キャンペーンは一時的な措置として捉えられていたが、日本からヨーロッパへの渡航が緩和するまで継続されるという。
2020年のイヤーテーマ「ベートーヴェン生誕250周年」記念イベントは期間延長
また、2020年のイヤーテーマである「ベートーヴェン生誕250周年」関連のイベントも2021年9月まで延長される。これに関連し、ドイツ観光局では日本語にも対応した Podcast シリーズ(全6話)を制作した。
これはドイツ各地に点在するベートーヴェンのルーツを探す音楽の旅で、ベートーヴェンにゆかりの深い町を旅しながら「ロマンの国ドイツ」を紹介している。このEブックはマイクロサイトで毎週1話ずつ公開され、公式記念日の2020年12月17日に完結する。
ベートーヴェン・ポッドキャストを聴く(ドイツ観光局 #DiscoverBeethoven ページへ)
2021年のイヤーテーマは「GermanLocalCulture」
ドイツ観光局が2021年、グローバルに掲げるイヤーテーマは「GermanLocalCulture」。ハッシュタグ #YoursTrulyGermany を添え、日本では「お城と食文化」「観光街道」「クリスマス」をキーワードに、ソーシャルメディア、OTAを混合させたクロスメディアキャンペーンを展開するという。
同キャンペーンに挙げられているキーワードは、日本市場での重点テーマとも合致していることから、再び大きな共感を得られるのではないかと期待される。
今年予定されていたキャンペーン「GermanSummerCities」は、2021年も都市観光に新たなインパクトを与える「GermanSummerCities 2021」として実施する。これはこれまでとは違う旅行体験の楽しみを強調する新たなキャンペーンで、自然、手軽なレジャー、持続可能性に富んだアトラクションといった側面から、都市観光の新しい体験を潜在的な顧客層へ向け訴求する。
なお、2021年は「日独交流160周年」。ドイツ観光局としても観光の側面から盛り上げていきたい、とその意気込みを語っている。
#DiscoverGermanyFromHome は、ドイツ観光局のSNS公式アカウントで楽しめる
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