イタリア政府観光局、アレーナ・ディ・ヴェローナ財団とともに壮大な野外オペラ・フェスティバルでイタリア観光の魅力を訴求
公益社団法人 日本観光振興協会、一般社団法人 日本旅行業協会、および日本政府観光局が、2023年10月26日から29日までインテックス大阪において「ツーリズムEXPOジャパン2023 大阪・関西」を開催。世界70ヵ国の国と地域、1,275の企業・団体が出展し、累計の来場者数は148,062人(出典:ツーリズムEXPOジャパン推進室)を数えた。
その中でひと際大きな存在感を放っていたのが、今年も大ブースで出展したイタリア政府観光局だ。
イタリアからは同政府観光局CEOのイヴァナ・イェリニッチ氏とマーケティング・プロモーション部長のマリア・エレーナ・ロッシ氏を筆頭に、首都ローマがあるラツィオ州、ヴェネツィアのあるヴェネト州、南からも日本人ツーリストに大近畿のシチリア、プーリア、バジリカータ州などを含む23団体の日本担当者が来日した。
初日の業界日には、マルコ・プレンチペ在大阪総領事を迎えてのイタリア・ブースのオープニング披露も兼ねたテープカットが行われた後、ブース内ではアフターコロナの本格的な市場復活に向け、会場を訪れた旅行業界関係者と熱心な商談が展開され、さらにプレス関係者を集めた記者発表会や、一般消費者に向けたテーマ別のミニセッションのエリア・テーマ別セミナーが会期中に行われ、ブースはイタリア旅行を心待ちにする、最新情報を求める多くの人々で連日賑いをみせた。
イタリア政府観光局では例年、この「ツーリズムEXPOジャパン」に合わせて、会期終了後に会場を移して「イタリア観光ワークショップ」を開催している。都内のホテルで行われた今年のワークショップには25団体が出展。ツーリズムEXPOジャパンの会場に続き、こちらでは申込みがあった首都圏を中心とする旅行会社の担当者たちとの商談が繰り広げれられた。
中でも今回、日本マーケットに対して積極的な注力の姿勢を見せたのが、2023年に第100回を数えた野外オペラ・フェスティバル「アレーナ・ディ・ヴェローナ」だ。同フェスティバルを運営するアレーナ・ディ・ヴェローナ財団は、ワークショップの終了後にメディア・旅行業界関係者に向けたミニ・コンサートを企画。彼らにとって特別な意味を持つ2024-2025年シーズンにひとりでも多くの日本人観光客を誘致すべく、耳でその魅力を訴求した。
ミニ・コンサートの冒頭でジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使は、集まったメディア・旅行業界関係者に対し、「パンデミックを経て様々な活動が再開した今、文化交流において観光は重要と捉えている。イタリアを代表する歌劇場の来日公演予定も相次ぐ中、ワークショップを締めくくるこうしたミニ・コンサートは観光の寄与につながる」と挨拶の中で述べた。
ミニ・コンサートに登場したのは、ソプラノ歌手のラヴィーニア・ビーニとバリトン歌手のヨンジュン・パクの2名。ジェラルド・フェリサッティのピアノ演奏にのせ全8曲、見事な歌声を披露し、聴衆の心を星降る真夏の夜のヴェローナへと誘った。
プッチーニ作曲『ジャンニ・スキッキ』 より 『私の愛しいお父さん』 (ソプラノ)
プッチーニ作曲『ボエーム』 より 『私が街を歩けば』 (ソプラノ)
ヴェルディ作曲『椿姫』より 『プロヴァンスの海と陸』 (バリトン)
ヴェルディ作曲『リゴレット』より 『我々は同類だ』 (ソプラノ・バリトン)
ヴェルディ作曲『椿姫』 より 『天使のように清らかな… 』 (ソプラノ・バリトン)
ヴェルディ作曲『リゴレット』より 『娘よ!お父様』 (バリトン)
トスティ作曲 『理想の人』 (ソプラノ)
カプア作曲 『オ・ソーレ・ミオ』 (バリトン)
■ 2023年に第100回を迎えた夏のヴェローナの風物詩「アレーナ・ディ・ヴェローナ」
アレーナ・ディ・ヴェローナとは、ミラノとヴェネツィアの中間に位置するユネスコ世界遺産(2000年登録)の町、ヴェローナにある古代ローマ時代の円形闘技場のこと。今から2000年前、古代ローマ時代が最盛期を迎えていた時代に建てられた、重要な歴史的建造物である。
イタリアの円形闘技場といえば、首都ローマにあるコロッセオがあまりにも有名だが、アレーナ・ディ・ヴェローナはコロッセオと比較すると保存状態が良く、2000年にわたり市場やサーカス、グラディエーターたちの戦いの場など、実に様々な用途に使われてきたという特徴がある。
そのアレーナ・ディ・ヴェローナの名を世界的なものにしたのが、ここで夏に開催されている野外オペラ・フェスティバルである。
世界随一の広さと、人気の演目上演を誇るアレーナ・ディ・ヴェローナの歴史は、メトロポリタン・オペラで歌っていたヴェローナ出身のテノール歌手ジョヴァンイ・ゼナテッロが、友人とアレーナを散歩中にこの場所でオペラが上演できなかと考えた1900年初頭にまで遡る。
その音響の素晴らしさを確認したゼナテッロは、1913年8月に私財を投じてジュゼッペ・ヴェルディの『アイーダ』を初演。以来、6月から9月までの夏の間、毎年この場所でオペラ・フェスティバルが開催されるようになり、夏のヴェローナの風物詩となった。第100回を迎えた2023年は、50もの演目が上演されている。
有名なソプラノ歌手のマリア・カラスが、1947年にデビューした場所としても知られるこの野外歌劇場。
アレーナ・ディ・ヴェローナ財団マーケティングマネージャーのアンドレア・コンパヌーチ氏は、「アートだけではないイタリアの本質が感じられる、生活、生きる喜びを感じさせてくれる場所である」と胸を張る。
アレーナ・ディ・ヴェローナ財団
「オペラ・フェスティバル 2024-2025」のプログラムを発表
アレーナ・ディ・ヴェローナ財団は、第100回という節目の年を迎えたこの夏のフェスティバル終了前に、偉大なる音楽の新たな100年を見据え、同財団にとって史上初となる続く2シーズンのプログラムを発表した。
これは2024年が、アレーナの総裁を務めた演出家ジャンフランコ・デ・ボシオの生誕100年、さらにイタリア・オペラ史上において巨匠ヴェルディの後を継ぐ逸材として世界的に知られる作曲家ジャコモ・プッチーニの没後100年に当たり、イタリア・オペラ界、とりわけアレーナ・ディ・ヴェローナにとって特別な一年であるからだ。
第101回となる2024年のシーズンは、6月8日から9月7日まで開催。彼らへのオマージュを込め、プッチーニ作品の中で最も華麗なオペラ『トゥーランドット』で開幕し、フランコ・ゼッフィレッリの夢のような舞台装置とオスカーを受賞したワダエミの衣装が、その舞台をより輝かせる。
また、スカラ座やブエノスアイレスでも喝采を受けたアンナ・ネトレプコ主演の『トスカ』、最新プロダクションによる『セビリアの理髪師』と『カルメン』、2つの異なるプロダクションによる『アイーダ』など、日本でも人気の高い演目が続々とラインナップされている。アレーナでは14年ぶりとなる特別企画の『ラ・ボエーム』は素晴らしいキャストを迎え、2回上演されるという。
特筆すべきは、記念すべき1913年の古典的舞台装置が復活する『アイーダ』だ。今は亡きマエストロ、ジャンフランコ・デ・ボシオが手がけたこの演目は、1913年8月10日にアレーナで初演が行われてから、ちょうど111年後に当たる8月10日を皮切りに、5公演が予定されている。さらに2024年は「音楽の夕べ」と題した5つのイベントが予定されているが、8月21日の「スペインの夕べ」には世界三大テノールのひとりプラシド・ドミンゴが登場し、オペラ・スターたちと華々しく共演する。
2024年のチケットは、すでに2023年8月28日から販売が開始されており、アレーナ・ディ・ヴェローナ財団のウェブサイトで入手できる。料金は据え置きで、2023年と同額で設定というのも嬉しい。
第102回となる2025年の開催は6月13日から9月6日まで。2夜に渡るアレーナ最高の合唱とドラマで幕を開け、フランコ・ゼッフィレッリによる『アイーダ』と『カルメン』、2011年のデ・アナによるベル・エポック風フレームの鏡と布を使った優雅な演出で知られる『椿姫』『リゴレット』と『カルミナ・ブラーナ』などがラインナップされている。また、特別オペラ・ガラコンサートの他、ロベルト・ボッレ&フレンズによる2公演が確定している。
L'Arena di Verona Opera Festival 2024
会期 |
2024年6月8日~9月7日 |
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会場 |
アレーナ・ディ・ヴェローナ |
チケット |
https://www.arena.it/it/arena-di-verona/arena-di-verona-opera-festival-2024-biglietti |