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 5月8日。後半のハイライト、パナマ運河通航の日を迎えた。中米南部の最も狭いパナマ地峡をぬって、大西洋と太平洋を結ぶ、約80キロメートルの運河は、景観も通航方法もスエズ運河とは大きく異なる。
パナマ運河

 パナマ運河は、起伏の激しい地帯にあるため、ロック式という、水路に入った船を、各閘門内に閉じ込め、水量を増減しながら進める方法がとられている。併せて、各閘門(ロックス)ではロコモーティブ(牽引車)が両側から船を曳く。最初に、ガトゥーンロックスで3段階上がる。では実際に船に乗って閘門を通過するときはどんな感じなのだろう。上下動に関してはほとんど体感はない。ただ回りの景色など視覚でその変化が伝わってくる。一方、閘門の開閉は迫力十分。思わず「オープンセサミ!」と叫びたくなるほどだ。
 人造湖とは思えないほど美しいガトゥーンレイク。パナマ鉄道の鉄橋。台地を切り開いたゲリヤードカットを進み、今度は下る番だ。ペドロミゲル閘門で、1段階、ミラフローレス閘門で2段階下り、飛鳥は太平洋へとぬけだした。因みに、通航料は、700万円だったという。
 5月13日、メキシコ・アカプルコ。マリアッチの演奏。民俗舞踏ショーと飛鳥はメキシカンカラーに染まる。メキシコ在住の世界的バイオリニスト・黒沼ユリ子氏の船上コンサートにうっとり。また黒沼氏によるメキシコ料理指導は、めずらしい味を教えてくれた。


 5月18日、飛鳥はゴールデン・ゲート・ブリッジを潜り抜け、サンフランシスコに入港。着岸したピア35はフィッシャーマンズワーフまで歩いていける近さだ。また船上からは、アルカポネも収監されていた監獄の島、アルカトラズ島が見える。
 5月25日、大きな虹と、アロハタワーに迎えられ、最終寄港地ハワイ・ホノルルへ。すでに、十分に旅慣れた船客達は、観光に、ゴルフに、ショッピングにと思い思いにラストポートを楽しむ。
かっぱれ

 いよいよ帰り道、世界一周もグランドフィナーレの時を迎えた。ひたひたと故郷へ近づく飛鳥船上では、蕎麦名人による、日本蕎麦デモンストレーション、伝統と滑稽が入り混じったかっぽれ教室など、懐かしい催物で盛り上がる。社交ダンス技術発表会など、これまでの船上教室の成果を披露する機会も設けられた。
 6月1日はラストフォーマルナイト。旅のフィナーレを飾るように美しく着飾った人々が、グランドホールに集い、フェアウエルパーティー。ペンライトをうち振り、蛍の光を合唱すると、3カ月以上をともに飛鳥ファミリーとして暮らしてきた日々が走馬灯のようにかけ巡る。
6月3日 横浜に帰港

 67歳と言う平均年齢にもかかわらず、1人の死者もなく、無事故無違反。連日お天気に恵まれ、穏やかな航海が続いたこのクルーズは、まさに世界一周の優等生だ。そして6月3日、飛鳥は華やかに旅立ったあの日を彷沸とさせるように、その白い雄姿を横浜に現わし、地球一周を結ぶ見事な澪を描ききったのであった。


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