ブリューゲル作「悪女フリート」が帰還したマイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館で企画展開催
修復に際し、徹底的な調査が行われたピーテル・ブリューゲル(父)作の「悪女フリート」。最新技術での調査の結果、これまで1561年とされていた制作年が、実は1563年であった可能性が出てきたことから、ブリューゲルは1563年頃にアントワープからブリュッセルに引っ越したとされ、これによりこの絵がアントワープで描かれたのか、それともブリュッセルなのかという新たな疑問が浮上した。
さらに、ブリューゲルの制作方法についての研究も行われ、「悪女フリート」は比較的大きく複雑な構図にもかかわらず、その下絵は無駄がなく正確。さらに下地や背景から、塗られた絵の具などが伝統的手法によるものということが判明した。また、修復により明るく多彩なブリューゲルの筆使いと卓越した技術が分かりやすくなり、さらに作品そのものに奥行きが感じられるようになった。
2019年秋には、マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館にて『フーケからブリューゲルへ』という企画展が開催される。マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館はもう一つ「12の諺」というブリューゲルの作品を収蔵しており、没後450年にアントワープを訪れるなら修復された「悪女フリート」をぜひ鑑賞しておきたい。
企画展『フーケからブリューゲルへ』
2019年10月5日で、マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館のコレクションに「悪女フリート」が加わってから125年になる。
本展は、アントワープ王立美術館の協力の下、同館が所蔵する作品のうち100点以上を蒐集した元アントワープ市長ヴァン・エルトボルンと、マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館のコレクションを作り上げたフリッツ・マイヤー・ヴァン・デン・ベルグに焦点を宛てる。
両者ともルーベンスよりも前、16世紀以前のフランドル絵画や芸術品に高い価値を見出した人物で、ピーテル・ブリューゲル(父)の「悪女フリート」をはじめ、15世紀のフランス画家ジャン・フーケの「聖母子」や、15世紀のフランドル画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、ヘラルト・ダヴィトの作品が、どのようにコレクションに加えられていったかに迫る。
Van Fouquet tot Bruegel
会期 |
2019年10月5日~2020年12月31日 |
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会場 |
マイヤー・ヴァン・デン・ブルグ美術館 |
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