ドイツ観光局 インフルエンサーを集めたクッキングイベントを開催
ドイツ観光局は22日、同局の2018年のイヤーテーマである「ドイツの食」に関連し、インフルエンサーを対象とするクッキングイベント「門倉多仁亜さんと作るマウルタッシェン」を開催した。イベントには各方面でドイツの魅力を発信する8名のインフルエンサーが参加し、ドイツ南部シュヴァーベン地方の郷土料理「マウルタッシェン」やワインを楽しみながら、「ドイツの食」を中心とする情報交換を行った。
世界遺産の修道院で生まれたパスタ料理「マウルタッシェン」
マウルタッシェン(Maultaschen)は、ドイツ南部の世界遺産マウルブロン修道院で生まれた郷土料理。イタリアのラビオリに似たシュヴァーベン風のラビオリ料理である。
ラビオリがほうれん草とリコッタチーズを主な具材にしているのに対し、マウルタッシェンには肉が使われているのが特徴の一つで、これは肉を食べてはいけない断食期間にどうしても肉が食べたかった修道女が、隠してしまえば神様にも見つからないと、パスタの中に詰めたのが始まりとされている。
使用される食材は地域や家庭に応じてことなり、調理法も茹でたり、オーブンで焼いたりと様々だが、イタリアのラビオリに比べるとかなり大ぶりで、食べ応えも抜群。ハーブやスパイスをうまく活かしていることから、どことなく近年ドイツで注目されているヒルデガルト・フォン・ビンゲンの薬草学に通ずるものを感じる。
門倉多仁亜先生は今回、イタリアのラビオリのようにボイルし、そこにじんわりと身体に染みわたる味わい深いスープを注ぎ、2時間ソテーしたオニオンのチャツネを添えたシュヴァーベン風マウルタッシェンを紹介。無添加で塩分も控えめ、身体に優しいドイツのパスタ料理である。
試食時にはマウルタッシェンと一緒に、日本橋浜町にあるドイツパンの店「タンネ」のドイツパンも添えられた。
Wines of Germany の『いま飲むべきドイツワイン』
伝統や食文化、そして何より森や自然を大切にするドイツ人。決して肥沃とはいえない厳しい大地に暮す人々が、知恵を絞り、豊かに育んできたものの一つがワイン造りである。ドイツワインは甘口という定説がぬぐい切れていないが、実はスッキリとした食事にも合うワインも増えている。
日本国内におけるドイツワインの販売促進・広報を行っている Wines of Germany では、『いま飲むべきドイツワイン』という冊子を作り、そこでおすすめの20銘柄を紹介している。
今回のクッキングイベントでは、マウルタッシェンに合うゼクト(スパークリングワイン)と白ワインの2本をセレクト。高級感あるピノロゼ・ゼクトの「アイマン」と、ふくよかなリースリング「クーリング・ギロー」が用意された。
辛口といっても、フランスやイタリアワインのようなドライ感とはまったく異なる。ドイツの辛口は、口当たりの良さの中にも主張し過ぎず、エレガントでふくよかな味わいが特徴。口にした後のゆったりとした余韻が、癖になりそうなワインである。
人々の心を豊かにする「ドイツの食文化」
イベント会場となったのは、表参道(東京都港区)にあるドイツのプレミアム家電ブランド「ミーレ」のショールームキッチン。食の哲学がにじみ出た機能的かつシンプルビューティーのキッチンを使い、マウルタッシェンの調理と試食が行われた。
ワイングラスもドイツの名門ブランド「リーデル」、シルバーは「ビレロイ&ボッホ」と、ドイツの名ブランドがそろい踏みとなった。その他にもドイツには、マイセンやヘキストといった美しい陶磁器を生み出す名窯がいくつもある。
そうした一つ一つの要素がドイツの食文化を支え、人々の日常や心を豊かにする。こうした総合力で食の魅力を訴求できるのがドイツの強みでもあり、そしてシンプルに突き刺さる「食の美学」と言えるのではないだろうか。