ビールをテーマに新たな魅力を発見! 北東バイエルンの旅

2024年09月19日 掲載

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世界遺産が集まる北東バイエルン地方


2024年9月現在、ドイツには世界で3番目に多い「54」、バイエルン州には「10」の世界遺産がある。そのうち

  ① レーゲンスブルク旧市街とシュタットアムホーフ地区(2006年登録)
  ② バンベルク旧市街(1993年登録)
  ③ バイロイト辺境伯歌劇場(2012年登録)
  ④ ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場(1981年登録)
  ⑤ バート・キッシンゲン(ヨーロッパの大温泉保養都市群/2021年登録)
  ⑥ ローマ帝国の国境線=ドナウのリーメス(2021年登録)
  ⑦ ローマ帝国の国境線=低地ドイツのリーメス(2021年登録)

の実に7つが、今回紹介されたバイエルン州の北東部に集中している。この世界遺産の数からも、フランケン地方と東バイエルン地方が、いかにポテンシャルの高い旅のデスティネーションであることがわかる。



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東バイエルン観光局 シュテファン・モーダー氏




中でも極めて優れた世界遺産とされているのが、ドナウ川の畔にある《完全な姿を今に留める中世の大都市》レーゲンスブルク。イタリア旅行の途中に立ち寄ったゲーテが、『何と結構な美景の地にあろうか。この地に町が築かれたのは、至極当然のことである』と讃えたこの町は、古代ローマ時代から軍事拠点として、そして神聖ローマ帝国の時代にはドナウ川交易の要衝、「永続的帝国議会」が開かれた政治の中心として繁栄した。

余談だが、ドイツ語の『緑のテーブル』や『長いバンク』という諺は、「永続的帝国議会」が置かれた議場(現・旧市庁舎)から生まれた。



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ドナウ川から望むレーゲンスブルク旧市街
©GNTB/Francesco Carovillano




神聖ローマ皇帝、カール5世(スペイン国王カルロス1世)と、美しき町娘バルバラ・ブロムベルクとのロマンスも生まれたレーゲンスブルクには、「ドイツ最古」「世界最古」と冠のつく店がいくつかある。

レーゲンスブルク市民の自慢は、ドナウの川岸にある「ヒストーリッシェ・ヴルストキュッヘ」。《歴史的ソーセージの台所》を意味するこの店は、ニュルンベルクの有名老舗店よりも古い歴史を持つ、世界最古のソーセージ屋さん。
店では本数を指定してソーセージを焼いてもらえる。もちろん、ソーセージには欠かせないビールも一緒に味わえる。



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世界最古のソーセージ屋さん「ヒストーリッシェ・ヴルストキュッヘ」のキッチン(当編集部撮影)




ドイツの食というと、ぼってりとした田舎風の、ボリューム満点の伝統料理を想像しがちだが、単に私たちがそこに目を向けていないだけで、トレンド感のある、洗練された料理を提供するレストランは、ドイツにも数多く存在する。
ミュンヘンやフランクフルトのような大都市ではないが、経済的に裕福なレーゲンスブルクも然り、である。

レーゲンスブルクの旧市街にある「ストースタッド」と「ASKA」は、日本にゆかりのあるアントン・シュマウス氏がオーナーシェフを務めるミシュラン星付レストラン。地元の食材をふんだんに使った創作料理を提供する北欧スタイルの「ストースタッド」に続き、2019年にオープンした「ASKA」は、ドイツで初めてミシュランの星を獲得した12席の寿司バーで、板前・寿司職人のスギモト氏がシェフを務めるこの店は、ドイツで唯一、日本語でミシュラングルメが堪能できる店だと、東バイエルン観光局のシュテファン・モーダー氏は胸を張る。

この2店舗は、13世紀にローマ人が造ったゴシック様式の「ゴリアテハウス」と呼ばれる建物の中にある。壁に旧約聖書の「巨人ゴリアテとダビデの戦い」が描かれているので、観光客でも見つけやすい。



Goliathhaus

ミシュラン星付レストランがある「ゴリアテハウス」(当編集部撮影)




古都と自然に癒される東バイエルン地方


ミュンヘン空港からのアクセスが良いレーゲンスブルクを起点にすると、東バイエルン地方の様々な魅力と出会える。

レーゲンスブルクから日帰りで、気軽に街歩きを楽しみたいのであれば、パッサウへ。
オーストリアやチェコと国境を接するパッサウは、中世の面影を今に残す町。旧市街は、船の舳先の様な形をしていて、ドナウ、イン、イルツの3つの河川が合流することから「ドライ・フリュッセ・シュタット」とも呼ばれている。



パッサウ

3つの川が合流するパッサウは、ドナウ川クルーズの起点
©Bildarchiv BayTM/Florian Trykowski




パッサウという町の名前は、中世初期にバイエルン人が築いた「パッツァウエ」に由来しているが、その歴史はケルト人が住んでいた形跡が残る紀元前にまで遡る。17世紀後半、町は2度の大火に見舞われたが、領主司教の働きかけにより再建され、バロック様式の町並みが甦った。

1407年に礎が置かれた「聖シュテファン大聖堂」は、世界最大ともいわるパイプオルガンがあることで有名。また、ボヘミアの影響を強く受けたパッサウではガラス工芸が盛んで、市庁舎の通り向かいには3万点にもおよぶボヘミアングラスを有する「ガラス博物館」がある。

ハプスブルグ家に嫁ぐバイエルン公女だったエリザベートが、ドイツに別れを告げたパッサウは、ドナウ川クルーズ船の出発地でもある。



バイエルンの森国立公園にある「バウムヴィプフェルファッド」
©GNTB/Francesco Carovillano




東バイエルン地方では、自然とのふれあいも外せない。

チェコへと続く「バイエルンの森国立公園」は、ドイツ最初の国立公園。面積はおよそ243平方キロメートル。1997年に拡張され、中央ヨーロッパ最大の森となった。

全体の95%が森で、人々が森林浴や散策、ハイキングやサイクリングが楽しめるよう整備されている。中でも、高さ44メートルの木製ドーム型タワーの「バウムヴィプフェルファッド」は、木の上にいる動物の目線で森が楽しめると人気が高い。

その他、ジュラ紀からの手つかずの自然が残る、レーゲンスブルク南西のケールハイムなども、足を運んでみたい場所である。



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