ヴェント&キューン 愛らしい「天使のオーケストラ」シリーズ誕生から100周年
「ヴェント&キューン」は、クリスマス玩具としても、インテリアとしても人気が高いドイツの高級ブランド。1915年にザクセン王立美術工芸大学を卒業したグレーテ・ヴェントとマルガレーテ・キューンの女性ふたりが創設し、1937年のパリ国際博覧会で金賞を受賞したことから一躍有名となった。歴史が息づくグリュンハイニヘンの工房では、今も一つ一つ芸術性の高い木製人形が、愛情を込めて手作りされている。
「ヴェント&キューン」の故郷は、世界最古のクリスマスマーケットが開催されるドイツ東部の都市ドレスデンから南へ約50キロ、チェコとの国境にほど近いザイフェンという小さな村。ドイツのクリスマスマーケットを彩る木工細工が生み出されているこの村の目抜き通りに、ショップを兼ねたミュージアム、通称「グリーンハウス」がある。
その「ヴェント&キューン」の代表作といえば、様々な楽器を手にする緑の羽と11の白いドットをもつ、愛らしい「天使のオーケストラ Engelorchester」。創立者のグレーテ・ヴェントが、この天使の人形をデザインをしたのは、今からちょうど100年前の1923年。最初に作られたのはバイオリンとフルート、キャンドルを持つ3つの天使だった。
腕や足といったパーツはろくろで加工し、接着面は斜めにカット。そこに胴体や足にも角度をつけることで、人形に動きや表情を生み出した傑作である。陶磁器のような光沢感をもち、絵具の彩色が天使により一層の愛らしさを加えた。天使たちを見ているだけで、自然と顔に笑みがこぼれる。
そうした愛くるしい天使たちの誕生100周年を記念し、同社ではドイツ国内外で様々なイベントが企画。特別記念としてオリジナルに勝るとも劣らない特別シリーズもリリースしているので、ぜひ同社のウェブサイトやインスタグラムでチェックしてみて欲しい。
「ヴェント&キューン」の工房があるドイツ・ザクセン州は、16の劇場に12の管弦楽団がある、その数、また歴史においてもドイツ随一を誇る《音楽の都》。中でもライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とシュターツカペレ・ドレスデンは、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団とも肩を並べる高水準の管弦楽団として世界的に広く知られている。
2023年11月には、そのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団がコロナ禍を経て4年ぶり、26回目の来日を果たした。「ヴェント&キューン」は、11月22日の東京公演の協賛となり、ドイツから関係者も来日して、<オーケストラつながり>のコンサート付の祝宴を催した。
「ヴェント&キューン」から来日したのは、創設者グレーテ・ヴェントの姪孫にあたるクラウディア・ベア氏と、マーケティング・マネージャーのトーマス・ロスト氏の2名で、宴席にはゲヴァントハウス管弦楽団ジェネラル・ディレクターのアンドレアス・シュルツ氏の姿もあった。
この日の公演のプログラムは、ワーグナーの「歌劇《トリスタンとイゾルデ》~ 前奏曲と愛の死」と、ブルックナーの「交響曲第9番ニ短調(ノーヴァク版)」。ゲヴァントハウス管弦楽団の本拠地であるライプツィヒはワーグナーの生誕地であることに加え、同管弦楽団はブルックナーが交響曲で初演を行い、初めて成功をおさめた管弦楽団として知られているが、シュルツ氏によるとブルックナーと「ヴェント&キューン」もまた特別な関係にあるのだという。
この日は会場にヴェント&キューンのパネルが設置されたほか、人形がプログラムに登場したりなど、オーケストラと融合した特別な世界観が楽しめる公演となった。
Wendt&Kühn
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