ICCJ「The Authentic Italian Table ~ イタリアを食べる日」今年はオンラインで開催

2020年09月15日 掲載

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - ICCJ「The Authentic Italian Table ~ イタリアを食べる日」今年はオンラインで開催
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed



ICCJ が国内で展開する「True Italian Taste」とは、日本国内に流通する<本物のイタリア食材>の価値を高め、保護することを目的とするプロジェクトである。同プロジェクトを推進するため、ICCJでは「The Authentic Italian Table ~ イタリアを食べる日」と銘打った一連のプロモーションを精力的に展開しているが、去る8日に実施されたウェビナーは新型コロナウィルスの影響もあり、今年の第1弾イベントとなった。


ICCJ2009_01

「True Italian Taste」について説明をする
在日イタリア商工会議所 事務局長のダヴィデ・ファントーニ氏(右下)



9月8日に実施されたウェビナー『エキスパートによるイタリアワインマーケティング』の特別講師に招かれたのは、バカルディ ジャパン株式会社でブランドマネージャーを務める福良利恵氏と、フェラーリジャパン株式会社マーケティングディレクターの遠藤克之輔氏の2名。前者の「バカルディ ジャパン」は、日本市場でイタリアンスパークリングワイン・ヴェルモットブランド「マルティーニ」のマーケティング統括を行っている企業、後者は言わずと知れたイタリアを代表する一流企業である。

ウェビナーでは、福良氏からは「イタリアワインに関するマーケティング」を軸に、日本におけるスパークリングワイン市場の動向についての分析、さらに気軽に人が集まれない新型コロナ下での戦略・今後に向けた課題点などが挙げられたほか、遠藤氏からはマーケティング全般について丁寧な説明が行われた。



■ 日本市場で苦戦するプロセッコ

ここからはバカルディ ジャパンの福良氏のデータに焦点を当てながら、その内容を消費者に近い目線で少し考察してみよう。

福良氏が示したデータによると、世界の国別スパークリングワインの販売量は、1位がイタリアの36%で、2位にフランス(17%)、3位ドイツ(13%)、4位スペイン(9%)と続き、世界ではイタリアを代表するスパークリングワイン「プロセッコ」の人気が高い。

ところが日本での販売量に向けると1位はフランス(39%)、2位にスペイン(25%)、そして3位にイタリア(19%)がつける形で、日本ではイタリア産のスパークリングワインよりもフランスの「シャンパーニュ」や、スペインの「カヴァ」の販売量の方が多く、またその成長率も高いという。

スパークリングワイン市場全体における日本のマーケットシェアは世界10位(2%)となっているが、これを「シャンパーニュ」「カヴァ」「プロセッコ」の3種類に絞って見てみると、日本でのシャンパーニュ販売量はフランス、英国、アメリカに次ぐ第4位で、カヴァは第7位、プロセッコはなんと第19位で、わずか1%に過ぎない。

これは苦しいぞ、プロセッコ。



ICCJ2009_03

バカルディジャパンが扱っている「MARTINI」のプロダクト




■ 日本での絶対王者シャンパーニュ

日本のスパークリングワイン市場で断トツの人気を誇るシャンパーニュ。福良氏のデータでは、日本での販売量は世界第4位と示されたが、実は消費額ではアメリカを抜き、世界第3位となっている。

「シャンパーニュ」といえば、その産地は丘陵・メゾン・カーヴを含めて世界遺産に登録されており、その中心にある町ランスは歴代フランス国王の戴冠式が行われた王家ゆかりの地。そこに「シャンパーニュ騎士団」、世界で最も有名な最高級スパークリングワイン、通称「ドンペリ」の存在など、とにかく優雅で華やかなイメージがついてまわる。
そこにきてシャンパーニュ地方があるグラン・テスト地方からも毎年のようにミッションが来日し、「シャンパーニュ」を前面に押し出した観光プロモーションも積極的に展開している。

また、「シャンパン・ゴールド」「シャンパン・タワー」「シャンパン・ファイト」など、シャンパンを名を冠した語句も日本語の中に定着し、その認知度は圧倒的。本来なら「シャンパーニュ」とは名乗ってはならない他国・他地域で醸造されたスパーリングワインをも、「シャンパン」という呼び名でひとくくりにしてしまう人も少なくない。

フランスとイタリア、単にどちらが出来の良いブドウが育つかと言ったら、それはイタリアと言って間違いないだろう。だが、フランス人にはズバ抜けた醸造技術や伝統、そして弱点を強みへと転換する巧みなブランディング力があるのも事実である。

このシャンパーニュの話になると、よくフランス人は見栄っ張りだからとか、プライドが高いからなど口にする人がいるが、それは少し違うのではないだろうか?
世界広しと言えども、これほどまでに神の恵みを受けたスパークリンクワインの産地はほとんど見当たらない。

一方、そのシャンパーニュに追いつけ追い越せと言わんばかりに、日本で急激にシェアを拡大しているのが「カヴァ」だ。実際、スーパーなどのお酒コーナーを覗いてみると、店頭に並ぶカヴァの種類も日に日に増加傾向にある。

現代のグルメシーンを牽引するスペインは、「タパス」と呼ばれる小皿料理とお酒の組み合わせなど、日本の食スタイルとの類似点も多く、とにかく親しみやすいのが特徴だ。しかも日本に入ってきているカヴァは価格もリーズナブルで、コスパも非常に良く、かつてのイタリアワインを思わせる。

ほど良くドライな味わいのものが多く、食卓に1本のカヴァを添えれば食前酒から幅広い料理にまでOK。万が一飲みきれなくても、価格がリーズナブルな分、気分的に楽という点も今の時代に好まれる理由の一つかも知れない。それでいて「カヴァ」という音の響きはどことなくオシャレで、日本人にはシンプルで覚えやすい。

となると、「プロセッコ」に代表されるイタリアのスパークリングワインに、日本での勝算はないのだろうか?



■ 日本には食前酒の習慣がない?

さて、本題に入る前に、ちょっと日本の食習慣について考えてみたい。実は今回のウェビナーの中で筆者の耳にひっかかったのが「日本には食前酒の習慣がない」という内容だった。だが、本当に日本に食前酒の習慣はないと言い切れるのだろうか?

確かにイタリアのように夕方バールなどに集まり、友人たちとの会話に花を咲かせながら食前酒を楽しむ「アペリティーヴォ」のようなスタイルとは異なるが、実は日本にも食前酒に通ずる習慣はある。

そもそも食前酒とは、食欲増進などを目的に「食事の前に飲むお酒」のこと。なにも人が集まって、ワイワイとお喋りしながらお酒を楽しむことだけが「食前酒」というわけではない。

日本が欧米の食文化を真似、懐石料理に食前酒が添えられるようになったのは明治以降のことだが、日本の「居酒屋」は家飲みができない人たちがお酒を楽しむ場所として江戸時代から存在している。さらに江戸時代初期には「みりん」を食前酒として嗜む習慣があった。

昭和の時代(とはいっても戦後)、町の商店街には店の一角で立ち飲みができる酒屋があったし、お父さんたちが家に帰る前に立ち寄って小鉢をつまみに1杯ひっかける小料理屋もあった。居酒屋に入って「まずはビール!」とオーダーしてしまう人も多いはず。ともすれば、その「まず」は食前酒に匹敵すると考えられるし、飲んだ後に「食事で〆る」という習慣は「お酒を飲むこと」と「食事をすること」を分けている証拠とも考えられる。

ひとつ欧米とは異なる大きな特徴を挙げるとすれば、日本には欧米から伝わったスパークリングワインやカクテルの他にも、ビールにはじまり焼酎やサワー、ハイボール、梅酒など、食前酒のラインナップが豊富にあるという点だろう。
そうした日本で、どうやったらイタリア産スパークリングワインのシェアをもっともっと拡大できるのだろうか。


ICCJ Authentic Italian Table



■ イタリア産スパークリングワインの魅力

では、ここでイタリアのスパークリングワイン(伊語でスプマンテ)事情を見てみよう。

スパークリングワインの販売量世界1位のイタリアには、代表的なスプマンテが3つある。一つ目がフルーティで爽やかな味わいと豊かな香りが特徴の「アスティ・スプマンテ」。次にほんのりとした上品な甘さが特徴のイタリア北東部で生産されている「プロセッコ」、そして最後が奇跡を起こした「フランチャコルタ」である。ロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域で生産されているこの「フランチャコルタ」は、瓶内二次発酵(俗にシャンパーニュ製法と呼ばれる)で造られるイタリア最高級スパークリングワインだ。

もちろんフランスにも「クレマン」など、シャンパーニュ以外にも有名な原産地呼称を持つスパークリングワインはあるが、豊かな土壌に恵まれたイタリアはさらに競争が激しく、国内で二分三分してしまっている状態といえる。

実はシャンパーニュ、プロセッコ、フランチャコルタの価格帯に大差はない。でも、実際に同価格のスパークリングワインを飲み比べてみると、(好みによって個人差はあるものの)イタリア産のものの方が品質がより高く、コスパが良いという事実はあまり知られていない。

そこに加え、日本の冒険やリスクを避けたがる国民性も影響していると筆者は考えている。これはツーリズムにも共通して言えることで、例え冒険が成功しても失敗してもそこから得られるものはあるのだが、日本人は価格が同じなら知っているもの、安定しているものを選ぶ傾向にある。

ひょっとしたら名前が色々あり過ぎて、フランス=シャンパーニュ、スペイン=カヴァ のように単純明快にイコールで結び付けられない点も、イタリアワイン初心者には分かりづらいのかも知れない。



■ 本物のイタリアを味わう

今の日本、「イタリア好き」を名乗る人は増えた。そのイタリア人気を受けるかのようにスーパーや小売店にもイタリアのワインや食材、時にはイタリアを装うまがい物まで出てきて、イタリアで溢れている。でも、どれだけのイタリア好きが本物のイタリアの味を知っているのだろうか?

確かに欧米に比べると、日本人はアルコールに弱い人が多い。健康志向の人も増え、飲酒を強要することはできない。でも、本当にイタリア好きなら、仕事帰りにシアトル系カフェに立ち寄って握っているコーヒーカップを、月に1度でも2度でも、週末だけでもスプマンテが入ったフルートグラスに持ち替えてみるのはいかがだろう。

1日の疲れを癒してくれそうな口当たりの良い「モスカート・ダスティ」、いつもの食事をランクアップしてくれる「プロセッコ」、特別な日を華やかに彩ってくれる「フランチャコルタ」…
本物のイタリア Made in Italy は、これまで出会ったことのない新たな人生の楽しみ方を教えてくれるに違いない。

Authentic Italian Table - イタリアを食べる日 by ICCJ

ウェブサイト

https://authentic.iccj.or.jp/


このページの先頭へ