サンタクロースのモデルとなった聖ニコラスの石棺か!? トルコで歴史的な発見
この発掘作業は、トルコ文化観光省が主導する「未来への遺産プロジェクト」の一環としてハタイ・ムスタファ・ケマル大学美術史学科のエブル・ファトマ・フンドゥク准教授指揮の下、教会の中庭に南側から隣接する長さ20メートル、2階建ての建物内部で行われているもので、遺跡初、石棺はそのままの状態で発掘された。作業の過程で、多くのテラコッタ製オイルランプの破片や動物の骨も出土したという。
サンタクロースのモデルとなった聖ニコラスの墓があるとされる教会のすぐ近くで、初めて発見された石棺ということもあり、大きな注目を集めている。
トナカイの引くそりに乗り、世界中を飛び回るサンタクロースだが、そのモデルとなった聖ニコラスが生まれ暮らしたのは、太陽が降り注ぐ地中海沿岸のアナトリア地方。子どもに対する聖ニコラウスの深い思いやりが、サンタクロースにインスピレーションを与えた。
その生涯はほとんど知られていないが、様々な伝説が残る聖ニコラウスは、西暦300年頃にリキア地方にあるパタラという町で、裕福な小麦商人の一人っ子として誕生した。幼い頃から奇跡を起こし、少年時代には崩壊した教会の下敷きになりながらも生き延びたと伝えられている。
そうした奇跡は大人になってからも続き、窓や煙突からお金を落として3人の少女に密かに持参金を与えたり、沈没寸前の船を救った、さらには死んだ3人の子どもを生き返らせたという話も残っている。
「子ども」と「船乗り」の守護聖人として知られる聖ニコラスは、故郷のパタラからリキア文明の首都ミラ(現在のデムレ)へ移住。聖ニコラスは、奇跡を起こすミラの司教として長年この地で勤め、優しさと信仰の遺産を残した。リュキア時代の岩窟墓やローマ時代の劇場がそのまま残る現在のミラは、観光客に人気のスポットとなっている。
343年12月6日、65歳で没したとされる聖ニコラス。喪に服した町の人々は、その功績を讃えるための教会を建て、その亡骸を石棺に収め埋葬した。しかし、聖ニコラスの奇跡が描かれた壁と教会はその後、地震や空襲で廃墟となり、9世紀にドーム型の教会として再建された。
1042年には、東ローマ帝国の皇帝コンスタンティヌス9世とその妻ゾーイによって大規模な修復が行われ、現在も残る聖ニコラス教会は中東ローマ建築の傑作の一つとして高く評価されている。
2000年からユネスコ世界遺産の暫定リストに登録されたこの教会は、トルコにおけるキリスト教の重要な場所として、毎年、何千もの人々が巡礼で訪れている。
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