山だけじゃない! ユングフラウ地方の楽しみ方

トゥーンのシンボル「ウンテレ・シュロイゼ」 夏にはここでサーフィンをする人の姿も!
ブラームスも愛したトゥーンを散歩する
畔から見たゴシック様式のトゥーン城と町並み
旧市街には、今もその当時の雰囲気が色濃く残っている。城の下に伸びる通りの商業施設は、斜面をうまく活用した二層になっているのが興味深い。さらにその上に住居があるのは非常に珍しく、他の町ではほとんど見られない面白い構造である。そして、低地の川沿いには、居心地のよさそうなカフェやレストランが軒を連ねている。
この町で『ヴァイオリンソナタ第2番』を作曲したブラームス。トゥーン滞在中、ブラームスは日課にしていた朝のコーヒータイムに始まり散歩、作曲、知人らとの交流などの時間を決め、毎日規則的に過ごしていたという。
ブラームスがお気に入りだった川辺から城へと続く道は「ブラームスの小道」と呼ばれ、滞在していたと見られる建物があった場所の近くには記念碑も立っている。親友に宛てた手紙の中でブラームスは、トゥーンで過ごす時間が大変満足のいくものであることを綴っている。
ブラームスの他にも同じく作曲家のメンデルスゾーンや文豪ゲーテ、作家のロベルト・ヴァルザーなど、多くの芸術家が訪れているトゥーン。画家のフェルディナント・ホドラーもその一人である。また、後にナポレオン3世となった若かりし頃のシャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルトも、軍事アカデミーの士官候補としてやって来て、暮したことがある。
旧市街にある珍しい二層構造の商業施設
川沿いに進んで中心部へ近づくと、ちょうどお祭りが行われていた。 大きな観覧車や街角から響いてくるストリートオルガンの音色が旅情をそそる。市庁舎広場にある特設ステージの前は、パフォーマンスを楽しむ人々で賑わっていた。私もしばし足を止め、リズムに合わせて手拍子を打ちながら、夏のヨーロッパ特有のどこか懐かしい、夢物語のような時の流れに酔いしれる。
トゥーンには、町のシンボルであるゴシック様式の城や市教会、博物館などの見どころがいくつかあるが、ぶらり気ままに歩くだけでも十分楽しい。特に日の長い夏は、ちょっとした夕涼みで訪れるにも最適な町である。
歩き疲れたら、気になるカフェでひと休み。川沿いの フライエンホフ ホテル にある「エスケープ」は、コーヒーや紅茶から食前酒まで楽しめるお洒落なカフェバーだ。小腹が空いているようなら、店自慢のトゥーンスタイルの「エスケープ・ハンバーガー」や、スイス風クリスピーピッツァ「フラムクーヘン」もぜひご一緒に。
街歩きを終えたら駅へと移動し、レイルパスを活用してホテルのあるインターラーケンまで列車で戻る(約30~35分所要)。トゥーンからは、ベルンへも約17分でアクセスできるので、ベルンからのエクスカーションとしても気軽に訪れることができる。
川沿いにあるフライエンホフホテルの「エスケープ・バー」(左)
トゥーンの夕暮れ(右)