アルプス唯一の世界遺産「スイスアルプス ユングフラウ = アレッチ」

更新日 : 2015年11月16日

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アレッチ氷河

アイガー、メンヒ、ユングフラウの3名峰からアレッチ氷河を経て、ビエッチホルンの南の谷にまで広がる
世界自然遺産「スイスアルプス ユングフラウ = アレッチ」 (登録:2001年/2007年)


世界遺産「スイスアルプス ユングフラウ = アレッチ」


「そこに山があるから」という言葉は、イングランド出身の登山家ジョージ・マロリーの有名な言葉だ。
今や見る者を魅了してやまない神秘の山々も、中世には「魔物が棲んでいる」と考えられ、恐怖の対象であった。そのため、その当時山の中へ踏み込んで行ったのは修行僧など、ごく一部の人間に限られていた。
そんなアルプスが、美しく魅力ある場所と人々に認識されるようになってきたのは16世紀になってからのこと。2017年に500周年を迎える「宗教改革」を機に科学革命が進み、地質学者や植物学者が研究を目的に入山するようになった。

やがて、アルプスの自然が描写されたゲーテの『イタリア紀行』やルソーの『新エロイーズ』をはじめ、英国の詩人ワーズワースや、画家のウィリアム・ターナーなど、アルプスを描写した数々の作品が登場するにつれ、英国を中心とするヨーロッパの上流階級に一大アルプスブームが巻き起きた。

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アルプス登頂を夢見た男たち

19世紀後半になると、多くの英国人登山家が次々とアルプスの処女峰に挑み、4,000メートル級の峰を制覇。そして、グリンデルワルトやツェルマットを中心とするアルプス登山は、まさに黄金期を迎えた。

そうした背景も受け、アルプスの山々は芸術の分野においても、その立ち位置を確立。絵画の主題として定着した。
スイスを代表する画家フェルディナント・ホドラーやジョヴァンニ・セガンティーニは、従来の山を主題とする風景画に循環の隠喩(メタファー)を織り交ぜた作風で知られ、その後の世紀末芸術や象徴主義に大きな影響を与えた。

その中心舞台となったユングフラウ(ベルナーオーバーラント)地方が、「ユングフラウ=アレッチ=ビエッチホルン地域(Jungfrau-Aletsch-Bietschhorn)」として、ユネスコの世界自然遺産に登録されたのは、人類が処女世紀を歩み始めた2001年のこと。さらに2007年に登録範囲が拡張され、現在は「スイスアルプス ユングフラウ = アレッチ (Swiss Alps Jungfrau-Aletsch)」の名称で、ユネスコ世界遺産リストに登録されている。

現在の登録範囲は、北の「アイガー」「メンヒ」「ユングフラウ」の3名峰から「アレッチ氷河」を経て、西は「ロッチェンタール」と「ビエッチホルン」、東は「フィンスターアールホルン」、そして「ビエッチホルン」の南の谷々にまで広がっている。これは、アルプス唯一の世界遺産となっている。


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