歴史地区は「屋根のない博物館」
ダウガヴァ川の河口に広がるリガ。かつて「ハンザ同盟」の中核都市として繁栄し、1997年にユネスコ世界文化遺産に登録された歴史地区には、その面影が色濃く残っている。町はさながら「屋根のない博物館」といった印象で、聖ペテロ教会の塔からはバロックからユーゲントシュティール(アールヌーボー)までの建築群が建ち並ぶ、美しい街並みが一望できる。
とりわけ多くの観光客が足を止めていたのが「ブラックヘッド・ハウス」だ。中世にはギルド(ドイツ商人)の独身男性が集まり、パーティーを開いていたというゴシック様式の美しい建物で、外壁に取り付けられた天文時計の文字盤からもその古さが読み取れる。
オリジナルの建物は第二次世界大戦の空爆で破壊されたが、2001年のリガ建都800周年の祝賀事業の一環として1999年に再建された。現在もレセプションの会場や、コンサートホールとして使用されているという。
また、マザーピルス通りにある「三兄弟の家」もリガを代表する建物だ。この「三兄弟」というのは、15世紀から17世紀にかけて建造された3連の建物の総称で、長男(右)が15世紀に建造されたリガ最古の石像住宅、次男(中央)が17世紀に建築されたオランダのマニエリスム様式の建物、末っ子(左)が幅の狭いバロック様式の建物で、いずれもそれぞれの時代の住宅事情などが映し出された建物となっている。
世界最大級のパイプオルガンに酔いしれる
聖ペテロ教会からブラックヘッド・ハウス、三兄弟の家、スウェーデン門、自由の記念碑まで、町を2時間ほどかけてのんびりと散策したものの、気づけば興奮冷めやらぬまま、再びこの場所に立っていた。
13世紀初頭、ドイツ人によってその礎が築かれたリガの町。その中心に鎮座するのが「リガ大聖堂」だ。中世にはバルト海沿岸地域で最古、かつ最大級の聖礼教会で、ここに大司教座が置かれた。1561年にリボニア修道会が崩壊するまで、修道会の中心的な役割を担っていた。その時代の名残が、中庭の回廊に見て取れる。
ロマネスク様式から初期ゴシック、バロック、そしてユーゲントシュティール様式まで、混在した様々な建築様式からもその歴史がうかがえるリガ大聖堂には、1882年から1883年にかけて製作された世界最大級の美しいパイプオルガンがある。
オルガンを囲んでいるのは、16世紀に施された木彫りの装飾。普通に見ても十分に美しいパイプオルガンだが、夜になって明かりが灯ると荘厳さが増し、ため息のでるような美しさとなる。
リガ大聖堂では、このパイプオルガンを奏でるオルガンコンサートを不定期で開催している。演目にもよるが、料金は5ユーロから20ユーロ前後。チケットはオンラインの他、開演前に大聖堂に設置された窓口でも当日券が発売され、窓口ではクレジットカード払いにも対応している。
ということで、ちょっとフンパツして(?)オルガンの正面、一番高い20ユーロの席を獲得した。この日は「MY ROAD. YOURS」と題し、エストニア生まれの作曲家アルヴォ・ペルトをはじめ、ヨハン・セバスチャン・ バッハ(独)、ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー(墺)、シャルル=マリー・ジャン・オベール・ヴィドール(仏)、ヨハン・スヴェンセン(ノルウェー)など、ヴァイオリンを交えた全8曲が演奏された。このボリュームと内容で、ひとり5ユーロからとは、お得感も半端ない!
地の底から響いてくようなパイプオルガン特有の超重低音に身体の芯が揺さぶられたと思ったら、天高くまで突き抜けるような高音に心ごとさらわれてしまいそうな感覚は、(演目ともども)まず日本では体験できない迫力だ。
「その大きさは世界で3番目」とも言われた最初のオルガンは1547年に焼失し、現在のパイプオルガンは3代目。ドイツのヴァルカー社が製作し、20世紀に入ってからオランダのフレントロップ・オルゲルバウが修復を行っているが、やはりその大きさと美しい音色は圧巻。リガを訪れるなら、一度はその目と耳で体験しておきたいパイプオルガンである。
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