ドイツ観光局、「ベートーヴェン生誕250周年」で記念イベントを開催
音楽と文学の国ドイツ
先ごろ都内で開催された「ベートーヴェン生誕250年記念バイオリン&ピアノ・リサイタルとベートーヴェンの夕べ」では、同局アジア・オーストラリア地区統括局長の西山晃氏が登壇しプレゼンテーションを実施した。
西山氏によると、ドイツはヨーロッパ随一の「カルチャーツーリズム」デスティネーションで、2018年にヨーロッパ各国から延べ2180万人が文化・観光を目的にドイツを訪れている。また、世界的にもドイツは「芸術・文化・建築」において最も重要な基準になっていると胸を張る。46というユネスコ世界遺産の登録数からも、その重要性は見てとれる。
また、ドイツは世界で1・2を争う劇場密度を誇り、80以上の歌劇場で年間で6,000回を超えるオペラやオペレッタが上演されており、まさに「音楽と文化」を体験するには理想的な旅のデスティネーションといえる。
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン生誕250周年
「ベートーヴェン生誕250年」を2020年の最重点観光テーマに掲げるドイツ観光局。世界的にもドイツ音楽への関心と音楽鑑賞旅行の需要が高い日本は、米国、中国とならび、本テーマキャンペーンにおいて最重点マーケットに位置づけられている。
今なお、世界中の人々にインスピレーションを与えるルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェンは、作品の上演数でも一番を数える作曲家。56年の生涯で340作品(曲にして650あまり)もの交響曲、ピアノ/ヴァイオリン協奏曲、弦楽四重奏曲、歌劇を残し、自筆譜はユネスコ世界遺産に登録されている。この記念すべき年にドイツを訪れるのであれば、やはり「ベートーヴェンを体験」してみたい。
ドイツでベートーヴェンを体験する
ベートーヴェンを最も身近に感じるなら、やはり外せないのがボンにある「ベートーヴェンの生家」だ。この生家は2019年12月にリニューアルオープンし、ひとりの芸術家、そしてひとりの人間としてのベートーヴェンに出会える体験型展示が行われている。また、ジークブルクにある「ミヒャエルベルク修道院」は若きベートヴェンがオルガンを演奏した場所で、ここは観光客も自由に立ち入りができる。
また、2020年3月12日から4月20日までベートーヴェンが辿ったボンからウィーンまで14ヶ所に寄港しながら多彩な音楽プログラムを楽しむリバークルーズ「音楽輸送船」や、クルト・マズア指揮によるベートーヴェン交響曲全集と毎年末に上演される「第九」で有名なライプツィヒの「ゲヴァントハウス」、来るシーズンで「ベートーヴェン・ツィクルス」を予定しているドレスデンの「シュターツカペレ」などでも、ベートーヴェン体験が待っている。
ベートーヴェン周年財団とコラボしたイベントも目白押し
2019年3月、「ベートーヴェン生誕250周年」に際し、ドイツ観光局はドイツ政府、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ライン・ヅィーク郡、ボン市が共同出資する公益法人「ベートーヴェン周年財団」とのコラボレーションを発表した。今回のイベントには同財団の代表を務めるラルフ・ビルクナー氏も来日し、2020年にボンおよびドイツ全土にて予定されているベートーヴェンの記念行事のハイライトを自ら発表した。
中でもドイツらしいのが「ベートーヴェン田園プロジェクト」。これは国連の事務総長アントニオ・グテーレス氏も後押しをする気候変動に待ったをかける芸術プロジェクトで、それぞれの解釈でベートーヴェンの交響曲「田園」を演奏し、世界中の芸術家に向けて人類と自然との相互関係の現況に目を向けるよう呼びかけるのだという。
ボンの「LVRライン地域博物館」では、2020年9月13日までベートーヴェンからビヨンセに至る時間軸と、欧州から世界の果てまでの空間軸が体験できる参加型展覧会『音楽!聴いて、感じて、奏でる』が開催されている。
また、今後も「ベートーヴェンの生家」では5つのテーマに基づく特別展が予定されているほか、1845年からボンで続く「ベートーヴェン音楽祭」(2020年3月13日~22日/9月4日~27日)も見逃せない。こうした一連の記念行事は、2020年12月17日にボンの歌劇場で幕を閉じる。
ベートーヴェン生誕250年記念バイオリン&ピアノ・リサイタル
本イベントには、幼少期をドイツで過ごしたヴァイオリン奏者の宮本笑里さんと、盲目の天才ピアニスト梯剛之さんも登場。トークショーとミニリサイタルを行った。
ミニリサイタルでは、梯剛之さんがベートーヴェンの作品の中でも特に人気があるピアノソナタ第14番の「月光」、第8番「悲愴」、第23番「情熱」の3曲を独奏し、来場者を幻想的なベートーヴェンの世界へと誘った。その後、宮本さんが梯さんの伴奏でヴァイオリンソナタ第5番「春」を演奏。会場が、春のような温かさに包まれた。
クラシックの伝統をモダンな解釈で
ドイツ観光局では、ベートーヴェン生誕250周年キャンペーンに関連し、デジタルマーケティングをさらに強化。ドイツの伝統的な音楽遺産を今の時代に合った手法で紹介するため、デジタルツールを駆使したプロモーションを展開している。
今回用意されたのは「第九」の一部をベートーヴェンと一緒にピアノ演奏する画期的な「VR体験」と、生きているベートーヴェンと一緒に写真撮影体験ができる「AR拡張現実プログラム」の2種類。来場者はベートーヴェンとの演奏や2ショット撮影を楽しんでいた。これらのVRやアプリは、ドイツ観光局のイベントで体験できる。
ドイツ観光局では、今回行われたビジネスプレゼンテーションをツイッター上のライブストリームで配信し、同時にインフルエンサーを中心にハッシュタグ投稿キャンペーンを実施しており、#DiscoverBeethoven で検索すると、ベートーヴェン生誕250周年に関連した様々な投稿がキャッチできる。
また、「ベートーヴェン生誕250周年」関連イベントについては、ドイツ観光局の公式ウェブサイトとあわせ、以下の特設ウェブサイト「BTHVN2020」からも最新の情報が発信されている。
BTHVN2020
ウェブサイト |
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