ミラノ市長来日、ヨーロッパで最もクールな街ミラノをアピール
2016年9月22日から25日まで東京ビックサイトで行われた「ツーリズムEXPOジャパン2016」の会場内にあるイタリア・ブースで23日、ドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使ご臨席の下、ミラノ市とイタリア政府観光局(ENIT)の記者発表が行われた。
会見の冒頭では、ローマの本局から来日したイタリア政府観光局エグゼクティブディレクターであるジョヴァンニ・バスティアネッリ氏が挨拶し、イタリアにとって日本は、欧州圏外で3番目に重要なマーケットであると述べた。さらに、東京支局の開局から50年以上が経過していることも、それを裏付けるものだとした。
この会見には、3ヶ月前に就任したミラノの新市長であるジュゼッペ・サーラ氏も来日。同氏は5年間、2015年5月1日から10月31日まで開催された「ミラノ国際博覧会」(以下、ミラノ万博)のトップを務め、同万博を成功に導いた人物でもある。
イタリア経済を牽引するミラノは、ファッションの発信基地としても知られる、言わずと知れたイタリア第2の都市。そのミラノが文献に登場するのは、紀元前6世紀のことだ。
サーラ市長は、イタリア半島全体で見ればミラノの歴史は”わずか2600年”に過ぎないが、2015年に開催した万博の成功によりミラノは大きく生まれ変わった。単なるビジネスや伝統文化だけではない、さらなる未来へ開かれたヨーロッパで今「最もクールな街」であると胸を張り、新たなミラノの魅力を自らアピールした。
歴史とモダンが融合するイタリア第2の都市、ミラノ観光の魅力とは?
ここからマイクは、ミラノ市観光局のロベルタ・グアイネーリ局長に引き継がれ、日本マーケットを含む最新のデータが発表された。
グアイネーリ局長によると、2015年にミラノ市を訪問した旅行者数は740万人。延べ宿泊数は1,580万泊で、その54%を外国人旅行者が占めている。うち2015年にミラノを訪れた日本人は、13万5千818人を数える。
また、ミラノでの宿泊数は、この7年間に60%も増加。そうした旅行者の63%以上が4ッ星、5ッ星ホテルに宿泊していることも紹介された。
統計の話を終えたロベルタ・グアイネーリ局長が、プレゼンテーションの最初で紹介したのは、イタリアの中でも特に発達したミラノの交通の便の良さであった。
イタリア経済の中心都市であるミラノには、3つの空港がある。その中で一番大きな空港が、世界の約200都市として結ばれている「マルペンサ国際空港」。日本からミラノへはほとんどの場合、このマルペンサ空港が空の玄関口となる。その他にも国内と欧州線が離発着する「リナーテ空港」、LCCのハブ空港となっている「オリオ・アル・セリオ空港」がある。
さらにミラノ中央駅は、高速鉄道のハブ駅となっており、北イタリア屈指の湖畔のリゾートである「コモ湖」や、湖に囲まれた芸術都市「マントヴァ」、名器「ストラディバリウス」の故郷として知られる「クレモナ」をはじめ、イタリア最初の首都「トリノ」や、『ロミオとジュリエット』の舞台としてお馴染みの「ヴェローナ」、ルネッサンスが花開いた「フィレンツェ」、かつて「すべての道はローマに通ず」と謳われた首都「ローマ」へも楽にアクセスできるなど、イタリア旅行の起点としての条件が十分過ぎるほど整っている。
また、ミラノ市内においては、まもなく5線目が開通する地下鉄、路面電車、バス、鉄道に加え、近年はシェアリング・システムも構築された。これにより自転車や車、スクーターなど、ヨーロッパで最大規模のシェアリングが展開されている。
ミラノには、遺跡やゴシック様式の大聖堂(ドゥオーモ)や、美しいルネッサンス様式のスフォルツェスコ城など、あらゆる時代に建造された歴史的建造物が点在しているが、それらが近代的なスカイラインと見事に調和した景観が楽しめる、イタリアでは珍しい都市でもある。ヨーロッパ屈指の広域都市開発地区「ポルタ・ヌオーヴァ」には、20人以上の世界的な建築家が携わった。また、ヘルツォーク&デメウロンが手掛けた新しいビルが、2016年中にオープンするという。
そんなモダンなミラノでは、注目したいテクノロジーを駆使した新たなプロジェクトも進行している。それが視覚障害者などにも目を向けた、アクセスビリティである。ミラノには20の教会があるが、うち15の教会(2016年8月現在)にハイテクを活用した「マルチ・センソリアル・パネル」が導入されている。
これは弱視、あるいは盲目であっても教会内部の平面図が、盛り上がった透明インクで認識できる点字パネル付のマルチメディア。パネルにあるQRコードをスマホで読み取ると、音声や字幕付き映像、作品のダウンロードなどもできるそうだ。このシステムは今後、市内の他の観光施設にも広げていく意向だという。
まさにミラノは未来だけでなく、すべての旅行者に開かれた都市へと大きな変貌を遂げている。
グアイネーリ局長はまた、ダ・ヴィンチが設計した「ダルセナーナ水路」など、全長150キロにおよぶ運河網が張り巡らされたミラノは、「水の都」であるとも紹介した。こうした運河は、街のシンボルでもあるドゥオーモの建設でも活躍した。
「ナヴィリ地区」などの運河沿いにはレストランやバールが軒を連ね、夕方5時からの「アペリティーヴォ」の時間ともなると、多くの若者でにぎわっている。
2015年のミラノ万博のテーマは「食」だったが、それ以前から「美食の都」として知られるミラノでは、イタリアのクリスマスに欠かせない「パネットーネ」や「リゾット・ミラネーゼ」などの伝統料理の数々も楽しめる。また、ミケランジェロの遺作となった「ロンダリーニのピエタ」や、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」などの芸術作品が堪能できるのも、ミラノの大きな魅力の一つとなっている。
国際家具見本市「ミラノ・サローネ」や、世界のファッショントレンドに影響を与える「ファッションウィーク」などが、定期的に開催されているデザイン都市ミラノではまた、この会見の前日(9月22日)にバレエ団の来日公演が初日を迎えた「スカラ座」にも、ぜひ訪れて欲しいとグアイネーリ局長は言う。このスカラ座では毎年、およそ2500回ものコンサートが上演されている。
最後に、「ミラン」と「インテル」の2つのチームが本拠地を置くミラノでは、やはり外せないのが「サッカー」。シーズン中、毎週交代で熱戦が繰り広げられる「サン・シーロスタジアム」は、ミラノで最も多くの人が訪れる人気スポットとなっている。
ミラノ市観光局が運営する公式ウェブサイトでは、多言語に対応した観光情報が随時発信されている。オンラインで配布されている観光ガイド「100 place to visit是非訪れたい街の観光スポット」(日本語版PDF)もあるので、ぜひダウンロードして、次回のミラノ観光の計画を立ててみよう!
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