ウェールズのおもてなし料理「ウェルシュ・レアビット」
去る3月22日、ウェールズ政府が英国政府観光庁との共催で、ウェールズの伝統料理「ウェルシュ・レアビット」のプロモーションイベントを開催。イベントには、旅行業界やメディア、フード関係者など60名を超える来場者があった。
ウェルシュ・レアビット(Welsh Rarebit)とは、ウェールズの家庭に伝わるチーズ料理。肉が高級品だった時代に、肉料理の代わるご馳走として食されていた。この料理が文献に登場するのは18世紀のことだが、一説によるとその起源は16世紀にまで遡ると言われている。
とろけたチーズにビールやマスタードなどを加えた香り高いソースを、トーストしたパンやスライスしたバケットに載せて頂く、いわゆる「チーズ・オン・トースト」。料理と呼ぶには非常にシンプルだが、今でもウェールズでは家で友人や知人をもてなす料理の一つとして広く親しまれており、家庭によりレシピも異なる。
イベントでは、ウェールズ政府の日本代表である中嶋竹春氏の挨拶に続き、上級外務担当官の小堀洋子氏が「不思議の国ウェールズ・2017年伝説の年」と題したプレゼンテーションが行い、旅のデスティネーションとしてのウェールズの魅力をアピールした。
ウェールズといえば『不思議の国のアリス』を書いたルイス·キャロルが、その作品のインスピレーションを得たというスランディデュノがある国。北ウェールズにはまた、13世紀にイングランド王エドワード1世がウェールズ遠征の拠点として築いた城で有名な町コンウィがある。
このコンウィは、日本旅行業協会(JATA)が中心となって発足したヨーロッパ観光促進協議会「Team EUROPE」が2015年に選定した「ヨーロッパの美しい村30選」に、英国から唯一選ばれた。
ちなみに今回のイベントで紹介された「ウェルシュ・レアビット」は家庭料理だが、提供するレストランやパブもあり、目安として5~7ポンドから食べられるそうなので、ウェールズを訪れたらぜひ味わってみたい。
イベントではまた、NHKのテレビ小説『マッサン』で菓子の製作指導にあたった、英国菓子研究家の砂古玉緒先生もプレゼンテーションを行った。砂古先生からは、生徒を連れ訪れた「ウェールズボドナントフードセンター」でのクッキングクラスなどの体験談が語られた。
会場となったのは、イベントの後援を担ったクリナップ株式会社が所有する同社のショールーム「キッチンタウン・東京」。
また、駐日英国大使館も後援。大使公邸のシェフであるフレデリック・ウォルター氏と吉田龍貴氏が大使館のキッチンを飛び出し、直々にクッキング・デモンストレーションを行った。
最後には、吉田シェフが作ったウェルシュ・レアビットを試食。ビールやサイダーとの相性も抜群のおいしさである。
ウェール産にこだわると入手困難なものもあるが、材料は非常にシンプル。レシピは英国大使館のクックパッドでも紹介されているので、ぜひ参考にして作ってみてはいかがだろうか。
なお、この日はウェルシュ・レアビットの他にも、ウェールズ産のサイダーやアップルジュース、ウェルシュケーキやバラブリスなども振舞われた。