ベルリンの壁崩壊25周年記念イベントは宇宙規模！？
2012年に成都775周年を迎えたドイツの首都ベルリン。この都市は第二次世界大戦後の1961年8月13日からおよそ30年にわたり、東ベルリン市民を主とする東ドイツ国民の西ベルリン、および西側諸国への逃亡を防ぐ政策として建設された分厚い壁で分断され、西ベルリンは東ドイツ領土内にある孤島のように存在していた。
この間、旧東ドイツ国民は国家という名の牢獄に押しとどめられ、まったく自由が許されない窮屈な日々を余儀なくされていた。
今年、2014年11月9日は平和的な革命によってその「ベルリンの壁」が崩壊し、ドイツ国民が真の意味での「終戦」を勝ち得てから25年目の節目を迎える。
“ウォールシティ”から“ワールドシティ”へと見事な変貌を遂げたベルリン
東西分裂時代はスパイの巣窟と化し、観光とは程遠いベルリンであったが、1989年11月9日の壁の崩壊からおよそ10年におよび都市の再建が進められ、現在では永遠の都と謳われるイタリアのローマを抜き、ロンドンやパリに次ぐ欧州第3位の観光都市へと成長。「ウォールシティ」から「ワールドシティ」へと鮮やかな変貌を遂げた。
① タレント ② テクノロジー ③ トレランス（寛容）の3つの「T」を掲げる現在のベルリンには、世界各地から若手のアーティストやクリエーターが集まり、音楽祭や映画際も多数開催。市内には18のミシュランの星付きレストランもあり、ショッピングやナイトライフが充実するこの眠らない街で休暇を過ごそうと、若者を中心に世界各地から観光客が続々と集まってきている。
街のおよそ3分の1が公園などの緑地に覆われたベルリンはまた、リサイクル活動への積極的な取り組みなど、エコシティとしても高く評価されている。市内にある宿泊施設のベッド数はニューヨークをも上回り、その平均宿泊料金は世界の主要都市の中でも15番目（2012年のデータ）とお得感も抜群である。
祝賀イベントは宇宙規模！？
（右から） プロモーションのため来日したベルリン観光局局長のブルクハルト・キーカー氏と、ベルリン文化プロジェクト総裁のモーリッツ・ファン・デュールメン氏、ドイツ観光局アジア・オーストラリア地区統括局長のペーター・ブルーメンシュテンゲル氏
イベントが予定されているのは、11月7日から９日までの３日間。計画ではかつて壁があった場所に、ヘリウムを注入した１万個強のLED（白色）の風船を配置し、約15キロにおよぶ「光の壁」が作られる。「ベルリンの壁」は高いところでは約4メートルあったが、風船が設置されるのは平均的な壁の高さとなる3.4メートル程度となる見込みで、風船には市民らのメッセージが書き込まれる。
最終日には19時から19時半まで（予定）カウントダウンイベントが行われ、その後に風船が空へ放たれる計画。風船は環境に配慮し、数ヶ月には自然界へ戻る素材が使われるというのも、いかにもドイツらしい。
また、注目したいのはそれだけではない。同イベントは宇宙からも見える規模で、イベント当日には宇宙ステーションにドイツ人飛行士が待機し、その様子がテレビ中継されるというからスゴイ！（日本でのテレビ生中継は、現段階では未定）
このイベントのビューイングスポットには何カ所が候補があるが、壁記念公園や2キロにわたり壁が続いていたベルリン分断の象徴的な場所であるベルナウアー通りが見やすいと予想される。ベルナウアー通りには「ベルリンの壁」記念館もあるので、この機会に合わせて訪れてみるのも良いだろう。その他、パブリックビューの設置も検討されている。
この「光の壁」以外にも、ベルリン市では公認の無料コンサートをはじめ、シュタージ（旧東ドイツの秘密警察）の獄舎などの公開も予定されている。これらの詳細は、ベルリン観光局のウェブサイトから入手できる。なお、11月9日の式典は政治色の濃いものとなり、列席者にはメルケル首相やベルリン市長をはじめ、ゴルバチョフ元書記長（未定）など当時の政界関係者たちの出席も見込まれているという。
現在ウクライナが直面しているクリミア問題を懸念するドイツ国民は少なくない。
「ヨーロッパに第2のベルリンの壁築いてはならない！」
同プロジェクトがその苦しみを経験したドイツだからこそ発信できる、世界へ向けての大きな平和的メッセージとなることを期待したい。
フォトライブラリー（画像提供：ベルリン観光局）
25 Jahre Fall der Berliner Mauer - Lichtinstallation
開催日 |
2014年11月7～9日 |
|---|---|
ウェブサイト |
http://www.visitberlin.de/de/event/09-11-2014/ |
（写真はイメージです）
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