ドイツの「伝統と風習」を体験する!

2015年06月08日 掲載

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - ドイツの「伝統と風習」を体験する!
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed



2015年ドイツ観光局のイヤーテーマ
「ドイツの伝統と風習」のイメージ動画 (C)ドイツ観光局



2015年、ドイツ観光局がイヤーテーマの一つに掲げているのが「伝統と風習」。先日都内で行われたプレス発表会では、ドイツの「伝統芸術と手工芸」や「食の伝統」、そして祝祭行事などの「今に息づく伝統」の3つを柱に、日本でまだあまり知られていないドイツの伝統や風習の数々が紹介された。

ドイツの伝統芸術と手工芸


ドイツ社会の発展や近現代において、長きにわたり産業文化の発展に寄与してきたドイツの「伝統芸術と手工芸」。発明力、芸術的に高い伝統、珠玉の作品などの「匠の技」は、今日のドイツの地方色を映し出す源にもなっている。

その一例とも言えるのが、マスメディアの発展を可能にした中世の活版印刷や、高い芸術性を手工芸品に映し出した陶磁器などである。さらに自動車の発明は人間の流動性を大きく高め、ドイツの発明品であるカードやMP3ファイルなどは、現在のコンピューター社会発展の礎にもなった。

こうした歴史の中で「Made in Germany」は、世界に高品質を提供するブランドとして認知されるようになり、Anholt-Gfk Roper社による最新の国家ブランド指数では、対象となる世界50ヶ国中、ドイツが1位を獲得している。

ドイツ全土には100を超える地域の伝統工芸や伝統産業を紹介する野外博物館があり、その多くが石切や鋳金といったすでに消滅してしまったものをテーマとして取り扱っている。また、一部では世代を超えて守られてきた伝統工芸が紹介されている。


ドイツを代表する伝統芸術と手工芸

カッコー時計 (バーデンヴュルテンベルク州)


Cuckoo clock(C)Düpper / TMBW

(C)Düpper / TMBW


黒い森で「カッコー時計」が作られるようになったのは、19世紀半ばのこと。現在も当時と同じ手法で作られている「カッコー時計」は、ドイツ旅行のお土産にも最適である。

ガラス工芸 (バイエルン州)


全長250キロにおよぶ「ガラス街道」は、バイエルン州東部を縦断する観光街道。街道沿いには、400年以上の歴史と伝統を誇るガラス工房が点在し、その一部では昔からのの製法を守る伝統的なガラス製品が製造されている。200℃の高温で液状となったガラス生地が、繊細な芸術作品に生まれ変わる。東部バイエルンの町ボーデンマイスでは、観光客でもガラス吹き体験ができる。

クレールヒェンス・ ボールハウス (ベルリン)


100年以上続く伝統のボールルーム。

伝統のいかだ作り (ブランデンブルク)


運河のいかだ遊覧が人気のシュプレーの森。「レーデ野外博物館」では、伝統的なシュプレーの森地方のいかだの歴史や、30年は壊れないといわれる頑丈ないかだを、熟練の職人がわずか8日間でどのよう作り上げているかが学べる。

造船、自動車、航空機産業 (ブレーメン)


ドイツで初めて旅客用空港が開港したハンザ都市ブレーメンは、伝統的な造船の町として知られている。現在は、国際宇宙ステーションの欧州モジュールが組みたれられた、宇宙産業の町にもなっている。

国際海洋博物館 (ハンブルク)


Warehouse District Hamburg(C)Kiedrowski, Rainer / Deutsche Zentrale für Tourismus e.V. (DZT)

(C)Kiedrowski, Rainer / Deutsche Zentrale für Tourismus e.V. (DZT)


ハンブルクにある「国際海洋博物館」は、海洋文化や航海好きなら必ず立ち寄りたいスポットである。

ヘッセンパーク (ヘッセン州)


タウヌス山地にある「ヘッセンパーク野外博物館」では、ヘッセン地方の伝統手工業を間近で体験できる。

オットー・リリエンタール博物館 (メクレンブルク・フォアポメルン州)


ドイツ航空工学のパイオニアの名を冠する「オットー・リリエンタール博物館」では、19世紀末の初期の航空工学について学べる。

藍の型染め (ニーダーザクセン州)


麻や木綿からなる布を染める「藍染」。型板と呼ばれるものを使い、青い背景に白い模様が付けられる。

産業遺産 (ノルトライン・ヴェストファーレン州)


UNESCO World Cultural Heritage Site, industrial culture(C)Gerhard Kassner / WKV / Tourismus Zentrale Saarland

(C)Gerhard Kassner / WKV / Tourismus Zentrale Saarland


炭鉱、ガスタンク、溶解炉など、19世紀以降の様々な産業遺産を訪ねる産業遺産ルート。

宝石 (ラインラント・プファルツ州)


ドイツ宝石街道の町イーダーオーバーシュタイン周辺は、宝石研磨産業のメッカである。原石発掘から研磨、宝飾品の加工過程まで体験できる。

ヴィレロイボッホ (ザールラント州)


およそ260年の長い歴史を持つ世界屈指の陶磁器ブランド。メットラッハにあるかつてのベネディクト派修道院の跡に、磁器工房が作られた。「磁器博物館」では、創業家にまつわる歴史を垣間見ることができる。

木工工芸と高級腕時計 (ザクセン州)


Eleven Dot Angels by Wendt & Kühn(C)S + M Rümmler / Wendt & Kühn KG

(C)S + M Rümmler / Wendt & Kühn KG


のどかな山村風景と800年の鉱山の歴史を持つエルツ山地は、独特の木工工芸文化を発展させた。同地はまた、コレクターの間で「最高級品」の代名詞にもなっている、グラスヒュッテ製の高級腕時計でも知られている。

製塩の伝統 (ザクセン・アンハルト州)


豊かな塩源を持つザーレ河畔の町ハレには「ハローレン・製塩所技術博物館」があり、その昔ハローレンと呼ばれた塩職人たちが、どのように塩を精製しているかが見学できる。

陶器の町 ケリングフーゼン (シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州)


ケリングフーゼンは、その陽光の良さからファイアンス焼が発達した。現在も残る多くの工房で、製造風景が見学できる。

クリスマスツリーのオーナメント (チューリンゲン州)


Christmas market(C)Respondek, Frank / Rothenburg Tourismus Service

(C)Respondek, Frank / Rothenburg Tourismus Service


チューリンゲン地方の町ラウシャもガラス細工の伝統で有名。ガラスを使ったガラス製の球形クリスマスオーナメンは、この地方の名物になっている。ガラス工房では、体験ができるほか、オーナメントの直売も行っている。

楽器 (バイエルン州、ザクセン州)


Freiberg

フライベルク(ザクセン州)にあるゴットフリート・ジルバーマン製作のパイプオルガン (当編集部撮影)


世界中の音楽家に広く認知され、その独特の美的感覚と匠が生み出す正確性で高く評価されているのがドイツ製の楽器である。中でも、世界一有名なオルガン製作者として知られるのが、300年前に活躍したゴットフリート・ジルバーマン。現在ドイツには、170社ものオルガンメーカーが活動し、新製品の製作から古いオルガンの修復まで手がけている。
クライスオーゲル、シューケオーゲル、イェームリッヒオーゲルといった伝統のあるオルガンは、世界中の教会やコンサートホールに設置され、その音色を奏でている。

オルガンほど規模ではないが、バイエルン州の町ミッテンヴァルトや、ザクセン州のフォクトラント地方は、手工芸品としてのヴァイオリンをはじめとした楽器製作においても、その名が知られている。フォクトラント地方の町マルクノイキルヒェンには、楽器製作の伝統を今に伝える楽器工房やゲルバー・ハンス館と呼ばれる楽器歴史博物館があり、300年前に興った楽器製作の伝統が学べる。


NEXT 1 2 3


このページの先頭へ