ドイツ観光局 2023年は「世界遺産」を軸に持続可能な旅を訴求

2023年06月08日 掲載

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プレス発表会の冒頭で「5月7日をもって新型コロナに関する規制や制限が撤廃され、ようやくコロナ禍前の日常が戻ってきた」との喜びとともに、「海外旅行の本格的なリカバリーに取り組む」との意欲を示した、ドイツ観光局アジア地区統括局長の西山晃氏。

西山氏の、その力強い言葉を後押しするのが、世界全体の流れに沿って、順調に回復しているドイツのインバウンド市場だ。西山氏によると、2022年にドイツを訪れた外国人渡航者数は68,088,010名。コロナ禍前の2019年と比較すると、年間の回復率は同期比で75.7%、すでに数字が出ている2023年1~2月の回復率は83%となり、平均を上回るペースで回復していると西山氏は胸を張る。

2022年の「訪独TOP20ヶ国」のうち、欧州域外からランクインしているのは、3位の米国、15位のアラブ湾岸諸国のみ。アジア太平洋地区については、全体で47%まで回復が見られるものの、日本と中国からは28%と、回復に遅れが見られるのが現状だ。



DZT pressekonferenz

力強い観光需要の回復に胸を張るドイツ観光局アジア地区統括局長の西山晃氏




日本からのリカバリーに立ちはだかる阻害要因として「ロシア・ウクライナ問題」「航空運賃の高騰」「円安」「欧州インフレ」「平均収入の伸び悩みによる購買力の低下」などが挙げられるが、日本市場においては、2023年3月時点でコロナ禍前の40%弱まで回復。今年1~2月期では、2019年同月比で50%を越えており、これは海外出国者数の回復速度を大きく上回っていることから、年末には予測を上回る結果にも期待できるのではないか、と西山氏は期待感をにじませる。

また、観光庁が今年1月にZ世代を対象に実施した調査「2023年に行きたい海外旅行先」でドイツは、男性は第9位、女性は第6位にランクイン。若年層で「観光の国ドイツ」の人気が高まっていることがわかり、西山氏は「将来を明るくしてくれる」「心強い」と述べた。



2023年は「世界遺産」でドイツ観光の魅力を訴求

国家ブランド指数で、6年連続首位を達成しているドイツ。そのドイツに対して日本人が持っているイメージは「活気ある都市・町」「歴史的建造物」「文化遺産」で、いずれもドイツ観光の強みにもなっている。

ドイツ観光局では、その年のイヤーテーマを決め、それに基づくキャンペーンをグローバルに展開しているが、2023年は昨年スタートしたサスティナブル トラベル「FEEL GOOD」を継続。今年3月には、ドイツの美しい自然にフォーカスする「Embrace German Nature」を再スタートさせている。

中でも日本市場において最重要テーマとなるのが、登録数が51に増えた「ドイツの世界遺産」。今月1日からは、デジタルキャンペーン「51のユネスコ世界遺産 Historic.Modern.Germany.」をローンチしている。



DZT UNESCO Museumsinsel Berlin 2023

世界で3番目に多いドイツのユネスコ世界遺産
© DZT / UNESCO Museumsinsel Berlin




スペインとランキングが入れ替わり、イタリアと中国に次ぐ世界で3番目の多さとなったドイツの世界遺産。
「産業立国のイメージが強いドイツではあるが、この数はドイツの歴史や文化遺産、自然の豊かさを裏付ける結果でもあり、スペインを超えたことは我々にとって大きな誇りである」と語る西山氏の顔からは笑みがこぼれる。

今後は、9月から10月にかけて「FeelGood」のキャンペーン、11月には「クリスマス」をテーマとするクロスメディアキャンペーンが予定されているほか、秋にはTikTokでの広告キャンペーンも実施する。また、10月下旬に大阪で開催される「ツーリズムEXPOジャパン」では、ヨーロッパ観光委員会(ETC)との共同出展を予定しているという。

また、サスティナブルな取り組みとして、日本で日本人向けに発信してるのメディアを対象とした「サスティナブルツーリズム記事コンテスト2023」も実施する。
 


新たなトレンドを生み出すSNS
今後はストーリー性に満ちた発信も強化


ドイツ観光局が大きく方向転換し、デジタルマーケティングに舵を切ったのは2016年のこと。ドイツ観光局 日本支局では、その翌年に公式Twitterアカウントを開設し、原則1日2回、毎日欠かすことなく、映える写真を添えて投稿を行っている。

完全デジタル化から7年目。ドイツ観光局では「オンラインマーケティングの要」として、Twitterでの発信を継続。
2023年5月時点でのフォロワー数は、20万に迫る19.8万を数え、ヨーロッパの在日政府観光局・大使館としては最大のアカウントへと成長し、そのポジションを揺るぎないものとしている。



DZT pressekonferenz

公式ツイッター配信の成果分析と将来戦略について語る広報マネージャーの大畑氏




その手腕をいかんなく発揮しているのは「Twitterは将来戦略」と語る広報マネージャーの大畑氏。フォロワーが最も多い年齢層は18歳から24歳で、全体のおよそ半数を占めていることから、同氏は「若い世代に洪水のように情報を与えて、将来ドイツへ行って欲しい」と語る。

大畑氏によると、今後は協賛企業および予約サイトとの連携や、ストーリー性に満ちた発信を強化。また、すでに海外旅行が再開されていることから、単純に面白いだけではなく、旅の予約につながるようなコンテンツを少しずつ増やしていきたいとしている。

トレンドを生み出しながらも、トレンドに振り回されない、「ドイツの強み」を生かした戦略に今後も注目したい。


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