ドイツ観光局が4年ぶりに「ドイツ旅行展」を実施 2024年はサステイナブルかつ高付加価値の旅先としてプロモート
「ドイツ旅行展」とは、ドイツ観光局が2年に一度、伝統的に実施しているドイツからの観光ミッションのこと。2021年は新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響によりバーチャルでの開催となったが、この春の日本での渡航規制緩和を受け、2019年6月以来のリアル開催となった。2023年はドイツから最新の情報を携え11団体が来日し、うちリビングホテルズとマイセン陶磁器工房の2社が初出展した。
ドイツ観光局は、このドイツ旅行展にあわせてメディア懇談会を実施し、日本市場の現状と今後の見通について説明。また、日本におけるサステイナビリティの役割、2024年に予定しているキャンペーン等を紹介した。
ドイツ観光局 アジア・オーストラリア地区統括局長の西山晃氏によると、この春、日本から海外への渡航規制が緩和されて以降、なだらかながらも出国者数は回復傾向にあるという。
だが、滑り出しが好調だったドイツへの旅行者も、当初の見通しを下回る2019年比で50%程度で推移。ロシアのウクライナ侵攻の影響による航空運賃の高騰、座席の供給数が増えない航空事情などが足かせとなり、2024年のリカバリー予測は楽観的に見積っても60-70%程度との厳しい見解を示している。
しかし、そうした厳しい状況下にあっても、ドイツの見通しは決して暗くはない。「旅行をするに重要なのは、行こうとする国のイメージが良いこと」「良いイメージの国の方が人気がある」と語る西山氏。アンホルト-イプソス国家ブランド指数(NBI)において2016年から2022年まで6年連続、総合1位をキープしてきたドイツは、日本人はことに観光に関連性にあるテーマにおいてドイツに良いイメージを持っており、それこそが我々の強みである、と胸を張る。
量から質へ、コロナ禍を経て今後一層、重要な旅のトレンドとして注目が集まるのが「サステイナビリティ」だ。
ドイツ観光局もこのトレンドに合わせドイツ旅行をよりサスティナブルに、かつ高付加価値の旅行デスティネーションとしてプロモートしていく方針だ。
旅行会社が主催する日本からのパッケージツアーに、人口の少ない小さな町がトップ10に入っているドイツは、世の中でSDGsという言葉が話題になる前から持続可能な旅に貢献してきた。
ドイツ観光局では、日本人旅行者はもともとサステナビリティの意識が高いが、その言葉自体が旅へのモチベーションにはならないと分析。そこで同局では上から目線とならないよう、あえて「サステナビリティ」という言葉は使わずにプロモーションを展開。「文化遺産めぐり」「地元の名物料理」「田舎でのんびり」などを人気の旅の目的としつつ、結果的にサステナビリティにつながる形での促進を目指す。
西山氏は、最後に2024年のキャンペーンテーマを発表した。2024年は、今年のイヤーテーマである「Simply FEEL GOOD」と「ドイツのユネスコ世界遺産」を継続するとともに、「芸術と文化の国」をテーマにしたキャンペーンを展開する。
重要テーマには、2024年6月中旬から7月中旬にかけて開催される「EURO 2024」、ドイツのロマン主義絵画を代表する「カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ生誕250周年」が、また日本独自のテーマとして「ドイツ観光局 日本支局の開設50周年」がある。
B2Bでは旅行費用の高騰、より長くなった移動時間といった現実的な課題に対応するため、富裕層向けのB2Bロードショーを実施。「Stay Longer」「消費単価の増加」を目指すという。