世界最大のクリスマスピラミッドを見る
ドイツ各地のクリスマス・マーケットを訪れると、必ずと言っていいほど目にするのが「クリスマスピラミッド(pyramide)」です。ということで、今日はこのクリスマスピラミッドについて少しお話をすることにしましょう。
ドイツではクリスマスを目前に控えた待降節(アドヴェント)の時期、物置の中にしまっておいたクリスマスピラミッドを引っ張り出し、常緑樹の枝を丸くまとめ装飾した「アドベントリース(アドベンツクランツ)と一緒に部屋に飾る習慣があります。
このクリスマスピラミッドの大きさは様々で、一層からなるシンプルな小振りのものから,何層にも重なった豪華なものまでありますが、その仕掛けはみんな同じ。ピラミッドの端の4ヶ所にロウソクを立て火をつけると、上昇気流により上部に取り付けてあるプロペラが回転。中心部にある人形が、メリーゴーランドのようにゆっくり静かに回り、じっと見つめていると何とも心が温かくなってきます。そのデザインも村の人々の日常を描いたものからキリスト生誕の場面を描いたものまで、実にたくさんあります。
このクリスマスピラミッドが初めて文献に登場するのは19世紀中ごろのこと。現在のように商品化されるようになったのは、20世紀初頭のことと言われています。ですが、そのルーツは中世にまで遡ります。
中世、ヨーロッパ南部と西部の国々では厄払いのため、クリスマスになると家に常緑植物の枝を飾る習慣がありました。一方、ヨーロッパ北部と東部では、やはり厄払いのため明かりを灯していました。その双方が18世紀になってエルツ山地で交わり、クリスマスになると町の広場に明かりを灯した木製の装飾を施すようになったそうです。それが棒の先端を束ねて台の骨組みを作り、緑の枝を巻き付けた4本の棒を立て明かりを灯した現在のピラミッドの原型と言われています。
ドレスデンのノイシュタッド(新市街)にあるザクセン民芸博物館では、そうした歴史が感じられる年代物のクリスマスピラミッドが多数展示されていますので、興味がある方は博物館まで足を運んでみると良いでしょう。
さて、世界最古のクリスマス・マーケットが開かれているドレスデンの「シュトリーツェルマルクト」にも、当然のことながらクリスマスピラミッドがあります。
一番大きなピラミッドの高さは45フィート(約14メートル)。ギネスブックにも登録されている正真正銘、世界最大のクリスマスピラミッドです。なにせその大きさゆえ否応なく目に飛び込んできますが、シュトリーツェルマルクトへ行ったら忘れずにその大きさをしかと目に焼き付けて来ましょう。また、このピラミッドの下で「ピラミッド祭」(2012年は12月15日)が催され、参加者たちがクリスマス声楽コンテストで自慢の喉を披露し競い合います。
ドレスデンには、クリスマスピラミッドの形をした屋台もありますので、見つけたらグリューワインを味わってみてはいかがでしょうか。
(写真はイメージです)
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