第8回イタリア料理コンクール、優勝者決定!
2017年11月20日から26日にかけて、イタリア政府主導で行われた「世界イタリア料理週間」。その日本でのフィナーレとなる第8回イタリア料理コンクール「グラン・コンコルソ・ディ・クチーナ 2017」の決勝戦が2017年12月4日、東京都港区にある東京ガス業務用ショールーム「厨BO!SHIODOME」で行われ、スリランカ出身のサンパット・バンダラ氏(ヒルトン東京お台場勤務・31歳)が優勝を果たした。

上位入賞者3名
中央が優勝したヒルトン東京お台場に勤務するサンパット・バンダラ氏
主催者であるイタリア商工会議所は、優勝したサンパット・バンダラ氏へ表彰状を授与。副賞としてイタリア往復航空券、Vino Hayashiのイタリアワイン通信講座1年分、ルッカイタリア料理学院への5日間体験入学などを贈呈した。

アリタリア-イタリア航空の代表マッシモ・アッレグリ氏から
副賞の航空券を贈呈される優勝のサンパット・バンダラ氏
イタリア料理コンクールとは
「グラン・コンコルソ・ディ・クチーナ」は、日本のイタリア料理界を担う新たな料理人の発掘、および日本における本場のイタリア郷土料理の知識向上と普及を目的に、2010年からイタリア商工会議所が実施しているイタリア料理のコンクール。2017年で8回目を迎え、毎年その創造性を競っている。
応募条件は、プロとして2年以上の実務経験を有する料理人で、なおかつイタリア以外の国籍を有する在日。本コンクールに日本国籍以外のシェフが出場するのは、今回が史上初となった。

第8回イタリア料理コンクール「Gran Concorso di Cucina 2017」
過去最多となる64名がエントリー
イタリア商工会議所によると、このイタリア料理コンクールへのエントリーは過去最多となる64名を記録。決勝戦は、厳しい予選を勝ち抜いた以下の8名で行われた。(敬称略)
・ 土井 俊介 - トラットリア・ダ・テレーサ (東京)
・ 中村 慎輔 - カジュアルイタリアン酒場バーカロ ラッツァ (兵庫)
・ 佐藤 雄基 - IL BEIGE (愛知)
・ 小嶋 航路 - Bistro cosicosi (東京)
・ 櫛田 賢市 - びわ湖大津プリンスホテル レイクビューダイニング ビオナ (滋賀)
・ 横山 浩平 - IL NESSO (神奈川)
・ 高瀬 智之 - リストランテ マキャベリ (東京)
・ サンパット・バンダラ - ヒルトン東京お台場 (東京)
最終実技審査は2グループに分かれて実施
決勝に進出した上記の8名は、2グループに分けられ審査が実施された。持ち時間は1時間。この中でテーマ食材を活かしたパスタ料理と肉料理の2皿を作る。採点はポイント制で行われ、制限時間を1分でも過ぎると減点の対象となる。
アシスタントは付けることができるが、あくまでも調理器具の洗浄など料理のプレゼンテーションを容易にするためのアシスタントで調理補助は不可。また、使用するパスタは、料理2品のうち少なくとも1品は主催者が用意したパスタを使用した料理を作ること、オリーブオイルや塩なども提供された同質・同量のものを使うことなどが義務づけられている。

調理の様子を観察する審査員たち
その調理の様子を見ていた特別審査委員長のシモーネ・カンタフィオ氏は、『我々イタリア人の根本的な部分をどう捉えているのか興味がある』とコメント。また、審査員のひとりで「アルマーニ」や「ハイアットリージェンシー・グアム」などでのキャリアを持つクリスティアーノ・ポッツィ氏は、『日本の食材をどうイタリア料理で表現するのかという点でも面白い試み』であると語った。

2017年のテーマ素材は「バイオバランス(R) 黒毛和牛いちぼ肉」
2017年のテーマ素材は、株式会社バイオバランスが提供する「黒毛和牛いちぼ肉」。家畜も含め、それを食べたものに有益な効果をもたらし、さらに全体的(関連的)に副次的な効果をもたらす「ホリスティック・プロバイオティクス」を完璧に実現した安全安心な黒毛和牛で、調理後にも保たれるパサつきのない柔らかさを特徴とする上質な牛肉である。
イタリア最大の食品会社「バリラ」も協賛
本コンクールにはバリラジャパンも協賛。「バリラ」はイタリア最大の食品メーカーで、イタリア国内でもNo.1のシェアを誇っている。イタリア料理を未来へとつなぐ、最も革新的な1品に贈る「バリラ賞」の提供者でもある。

イタリアシェアNo.1 のパスタ「バリラ」
特別審査委員長を務めたのはミシュラン星付きシェフ
そうして仕上げられた料理を審査したのが、今回の特別審査委員長で「シェルブラストーヤジャポン」のミシュラン星付きシェフのシモーネ氏を筆頭とする、以下の審査員団(敬称略)。
・ マッシモ・アッレグリ – アリタリア-イタリア航空
・ トンマーゾ・デルコレ – 在日イタリア大使館
・ ステファノ・ファストロ – リストランテ・ステファノ
・ ジョルジョ・マテーラ – ディ・ジョルジョ
・ 内藤善夫 – 株式会社バイオバランス
・ エマヌエラ・オリギ – Accademia Italiana della Cucina ? Legazione di Tokyo
・ クリスティアーノ・ポッツィ – 元アルマーニ、ハイアットリージェンシー・グアムなど
・ アントニー・ストリアネーゼ – バリラジャパン株式会社

一つ一つの料理を丁寧にジャッジする審査員たち
① 味 ② 盛り付け ③ テーマ素材「バイオバランス(R) 黒毛和牛いちぼ肉」の活かし方 ④ 創造性 を基準に審査。その他にも今回新たに「ジャーナリスト賞」が新設され、取材で集まったジャーナリストもメインの審査員とは別枠で審査に加わった。
「グラン・コンコルソ・ディ・クチーナ 2017」結果発表
審査の結果、優勝は先述の「ヒルトン東京お台場」に勤務するサンパット・バンダラ氏(東京)、第2位は「リストランテ マキャベリ」の高瀬 智之シェフ(東京)、第3位が「びわ湖大津プリンスホテル レイクビューダイニング ビオナ」勤務の櫛田 賢市シェフ(滋賀)となった。
また、バリラジャパン株式会社の「バリラ賞」は、神奈川にある「IL NESSO」の横山浩平シェフが、そして取材記者グループによる「ジャーナリスト賞」には第3位の櫛田シェフが選出され、見事にダブル入賞を果たした。
優勝のサンパット・バンダラ氏は、表彰式後のインタビューで『多くの才能に溢れた日本人シェフの間で勝てるだなんて、いまだに信じられない。』との喜びを語った上で、決勝戦メニューについては『バリラのリングイネであったり、イタリアのエキストラバージンオイル、築地で選んだロブスターとチェリートマトを組み合わせたとてもシンプルなメニュー』であると説明した。

上位入賞者と審査員
イタリア人シェフから見た「日本人シェフのイタリア料理」とは
イタリア人シェフから見た「日本人シェフのイタリア料理」について、神楽坂でリストランテを営むステファノ氏は、『当然、彼らの原点には日本の味覚であったり考え方があるので、完全にイタリア人シェフになるのは不可能。それでも総合的にみると面白いことをしていると思う。』と評した。
また、シモーネ氏からは『日本人シェフは非常に注意深く料理に挑んでいる印象を受ける。イタリア人シェフの方が、もっと冒険というか遊び心がある(笑)』、そしてクリスティアーノ氏は『この10年間、日本国内のイタリア料理のレベルは非常に上がっていると確信している。イタリア食材についての知識はもちろん、情熱を持ったシェフが非常に多い印象。』と述べた。
さて、忘年会やらクリスマスやらで、何かと外食が増えるこの季節。街中の小粋なリストランテにでも出かけ、イタリア料理の未来に乾杯といきますか。
【優勝】
サンパット・バンダラ(ヒルトン東京お台場 / 東京)

バリラリングイネをチェリートマトのコンポートとロブスターのソースで

バイオバランスビーフのタルタル
【第2位】
高瀬 智之(リストランテ マキャベリ / 東京)


左:バイオ春菊のリゾーニ 菊芋のアクセント 黒毛和牛イチボのティエーピドとともに
右:バランスビーフ「イチボのアッローストフレッド 鮪ボッタルガのサルサ柚子と和ハーブ風味のインサラータ・ディ・クスクス添え
【第3位/ジャーナリスト賞】
櫛田 賢市(びわ湖大津プリンスホテル レイクビューダイニング ビオナ / 滋賀)


左:魚介と旬野菜のオレキエッテ カラスミのチュイル添え
右:バイオバランスビーフの低温調理 レフォールと林檎のアクセント 冬仕立て
【バリラ賞】
横山 浩平(IL NESSO / 神奈川)


左:春菊のピューレと紅ズワイガニの冷製スパゲッティゆずの香り
右:バイオバランスビーフのロースト、焦がし玉ねぎのソース、 生姜とレモン風味のじゃがいものピューレを添えて