キアンティワイン協会、宮嶋勲氏をプレゼンターに迎えてキアンティワインのセミナーを開催
平成最後の日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。さて、今日はゴールデンウィークの真っただ中ですので、ツーリズムから少し離れたイタリアワインの話題をお届けします。
去る25日、キアンティワイン協会が東京都目黒区にあるホテル雅叙園東京にて、宮嶋勲氏をプレゼンターに招き「キアンティD.O.C.G.7つのサブゾーンのリゼルヴァ 2015をテイスティング」と題したワイン関連業者向けのセミナーと試飲会を実施しました。その背景には、イタリアを代表するワイン「キアンティ」の日本での知名度は高いものの、その中身となると意外と知られていないという、悩ましい事情があるようです。
キアンティワインの故郷、キアンティ地方はイタリア中部のティレニア海に面するトスカーナ州のフィレンツェ、ピサ、ピストイア、プラート、アレッツォ、シエナの6県にわたる広いエリアを指します。キアンティワインの起源は数世紀の間失われていましたが、1800年代に正式に認定され、1932年に初の公式区域限定を経て、トスカーナ大公のコジモ3世が線引きを行いました。その後、イタリア独裁時代にムッソリーニが外貨獲得を目的に拡大し、現在のような広範囲となりました。それ以前からキアンティとして存在していた畑と、そこで造られたキアンティワインは「キアンティ・クラシコ」と呼ばれています。
そのキアンティ地方を代表するぶどう品種といえば「サンジョベーゼ」。このサンジョベーゼは、テロワールを素直に受け入れるぶどう品種なので、一口にキアンティワインと言っても、果実味溢れるフレッシュなものからお肉が欲しくなるタンニンの強いもの、そしてエレガントなものまで、まるで「万華鏡」のように、それぞれの土壌に適応した異なった性質を持つワインに仕上がります。
今回の試飲会にはキアンティ地方から22のワイナリーが来日、セミナーでは2015年のD.O.C.G.(統制保証付原産地呼称ワイン)から「Chianti Colline Pisane」「Chianti Montespertoli」「Chianti Colli Aretini」「Chianti Rùfina」「Chianti Colli Fiorentini」「Chianti Montalbano」「Chianti Colli Senesi」の計7種類(いずれもリゼルヴァ)の飲み比べが行われました。
もともと農民たちが、食事の一部として造ったキアンティのワイン。イタリアでは、食とワインは切り離せない関係にあります。イタリア政府観光局(ENIT)が近年、食のプロモーションに使っている「エノガストロミー」という言葉はワインとガストロノミーを結合させた造語ですが、この言葉はイタリアに古くからあるこの食習慣に由来します。
キアンティのワインは、手ごろな価格で、先述の通り多彩な味わいが楽しめます。先ごろEPAの施行により、これから日本に新しいヨーロッパのワインが続々と入って来ていますが、キアンティワインも然り。樽型のボトルに入った古いタイプのワインばかりではありませんので、機会があったら是非お試しください。