スペインでクリスマス伝統の「ベレン人形」を見る
クリスマスイルミネーションやツリーよりも、スペインでもっと大切に守られているのが伝統の「ベレン」というキリストの降誕を再現した人形だ。12月初頭から公現祭の1月6日まで、家庭でも街々のマヨール広場や教会でも、このベレンが飾られる。
ベレンでは、キリストが誕生した馬小屋の様子や、羊飼いたちへの天使のお告げ、星によって降誕の場に導かれる東方三賢者など、聖書の代表的な一場面が再現されているが、中には電動式や視覚効果を使った大規模なもの、演劇風のものもある。スペインでこのベレンが、伝統的に飾られるようになったのは7世紀ほど前からのこと。決して華美ではないが、真のクリスマスが感じられるアドヴェントのスペインの風物詩となっている。
特に人気なのが、代表的な人物に扮した地元の人たちによる情景再現。そこで地元の代表的な産物が調理され、振舞われることもある。
そうした情景再現が見られる場所の一つがが、マドリードのブイトラゴ。ここでは馬小屋のキリスト、マリアとホセ、羊飼いたち、東方三賢者などに扮した約200人の俳優による降誕再現が、1988年から行われている。また、カディスのアルコス・デ・ラ・フロンテラでは、椰子の葉で街が飾られ、地元の人々がキリスト降誕のすべての情景を再現している。
カスティーリャ・イ・レオン州のバリャドリード地方も、人物による降誕情景の再現で知られており、中でもカベソン・デ・ピスエルガがお勧め。ここでの伝統的な職人の再現は、まるで時代を超えた旅をしているような気分になれる。
バスカラ(ジローナ)でも、1973年から降誕情景再現(洞窟、草木、噴水なども)を行っている。現在は300人を超す俳優たちにより、町が2000年前のパレスチナになる。サングエサ(ナバーラ州)で1月6日に行われる、東方三賢者の聖史降誕劇も一見の価値あり。上記のような人物による降誕情景の再現とは異なる野外劇で、キリストを拝みに訪れる東方三賢者の到着が演じられている。
(写真はイメージです)
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