神秘的なエルチェの宗教劇祭
アリカンテ(スペイン)のエルチェという町で毎年、聖母マリア被昇天を題材にした中世の叙情詩劇が行われている。
サンタ・マリア教会を舞台に繰り広げられるこの劇は、讃美歌と詩(ラテン語)の一部を除きすべてバレンシア語で行われ、異なる時代の音楽が取り入れられているのが大きな特徴。「人類の口承及び無形遺産の傑作」として、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されている。
この中世の叙情詩劇は、その歴史を13世紀にまで遡る。題材は、マリア信仰の根強いヨーロッパの地中海沿岸で上演されていた聖母マリア被昇天。台本は、その時代に民衆に親しまれていた福音書(バレンシア語)がベースとなっていて、全部で259の詩で構成されている。
この神秘劇を最もよく特徴づけているのが音楽。劇中のメロディは、複数の音楽家によって付け加えられてきたため、異なる時代のものが混在している。また、唯一現存する古い叙情劇であると同時に、ローマ教皇ウルバヌス8世の特別な許可を得て、教会内(サンタマリア聖堂)での上演が認められた、世界で唯一の宗教劇でもある。
劇は2部構成で、第1幕が「使徒と天使に見守られた聖母マリアの永眠」、第2幕が「聖母マリアの被昇天」。毎年8月14日と15日に上演され、見学は無料。また、8月11日から13日まで全体リハーサルが行われ、こちらはチケットを購入すると見学できるようになっている。
さらに偶数年には、10月と11月に特別公演が行われている。この特別公演は、11月1日の午前に第1幕、午後に第2幕が行われ、そのリハーサルは10月29日と30日に行われる。夏同様、11月も本番は無料で鑑賞できるが、リハーサルを見るにはチケットが必要となる。例年そのチケットは、7月下旬に発売されている。
Misteri d'Elx
開催日 |
2017年8月11~15日 |
---|---|
開催地 |
エルチェ (アリカンテ) |
ウェブサイト |
(動画はイメージです)
関連記事
- None Found