アクセシブル・ツーリズムの取り組みが進むスペイン
世界の人口の約8%の人は、何らかの障害を抱えているとされている。スペイン政府観光局のハイメ・アレハンドレ局長は、前職において身体的なハンディを抱えている人でも、高齢者でも、皆が人生を楽しめるような環境整備に取り組んできた。スペインは、すべての人に優しい街づくりを積極的に推進している。
スペインの人気観光スポット「サグラダ・ファミリア」や「アルハンブラ宮殿」をはじめ、世界的な芸術作品を所蔵する「プラド美術館」など、スペイン各地でバリアフリー化が進んでいる。中でも<中世の城壁都市>として世界遺産に登録されているアビラは、城壁の上を車イスでも移動できるように整備し、欧州委員会から「ヨーロッパで最もアクセシブルな都市」として表彰された。
また、公共交通施設においても、スペインにある全ての空港に介助が必要な人のために専門スタッフを常駐させているほか、鉄道においても長距離路線では助けが必要な乗客に目的地まで同行するサービスを提供。主要都市の地下鉄や路線バスも、ほぼ完全にバリアフリー化されている。
さらに特筆すべきは「市民の意識」。スペインでは社会全体に「ソーシャル・インクルージョン」の考えが根付いており、国民であっても観光客であっても、助けを必要とする人に手を差し伸べるという習慣が定着している。これはインフラ面だけでなく、アクセシブル・ツーリズムの充実に欠かせない、観光立国スペインの特長となっている。
スペイン政府観光局は、誰もが旅を楽しめる「ソーシャル・インクルージョンな観光地」を目指す試みとして、新たにバリアフリー対応の文化施設の情報ページを同局の公式ウェブサイト上に設け、日本語でも配信している。
関連記事
- None Found