西オーストラリア州「ムルジュガの文化的景観」が世界遺産に登録
ピルバラ海岸線の美しいターコイズブルーの海を背景に広がる「ムルジュガの文化的景観」(以下、ムルジュガ)は、地球上で特に重要とされる文化的景観の一つ。幾層にも重なる赤い岩の断崖には、推定5万年以上前に遡る約200万点もの岩絵(ペトログリフ)があり、そこにはアボリジナルの人々とこの地の深い結びつきを示す、土地・海・儀式・家族・精霊といった数々の物語が描かれている。そうした悠久の時と深い精神、生きた文化が息づく場所として国際的な評価を受け、今回の世界遺産リスト入りを果たした。

空から見下ろした新たな世界遺産「ムルジュガの文化的景観」
(画像提供:西オーストラリア州政府観光局)
「ムルジュガ」の中心には、5つの言語グループからなるアボリジナルの人々が暮している。彼らは「ンガルダ=ンガリ(Ngarda-Ngarli)」と呼ばれ、この土地と海の守り手として、その保護と継承に努めている。
この「ンガラ」とはンガルマ語で「国」を意味しており、彼らにとって「ムルジュガ」は単なる故郷ではなく「生きた祖先」、また「物語の継承者」でもあり、文化的な営みが今も続く特別な場所となっている。
「ムルジュガ」があるダンピア諸島は、インド洋に点在する起伏のある42の島々で構成されている。その広さは10万ヘクタールにも及び、この土地を訪れる際には自然と文化への敬意を払い、文化的配慮・共同の保護意識の大切さを理解することが求められている。
西オーストラリア州政府観光局の発表によると、今回の「ムルジュガ」のユネスコ世界遺産登録は、そこに残る驚異的な岩絵だけでなく、「ンガルダ=ンガリ」の人々が今も受け継ぐ生きた伝統やこの土地との精神的なつながり、さらに何世代にもわたって継承されてきた卓越した文化的知識が評価されたもの、だという。
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