どうなる?香港観光

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 中国への返還と同時に今まで英国植民地香港と中国とを隔ててきた国境はなくなり、香港は中国の西に向かって開く玄関口となる。貿易・投資・金融など経済的分野でのゲートウェイとなるのみならず、観光論的にも香港は好むと好まざるとにかかわらず、広大で、かつ、観光資源の豊富な中国観光のゲートウェイとなる筈である。

 返還を契機として、香港とマカオ、珠江デルタ、さらには将来、海南島をも含めた華南地域一帯との観光的一体化が進むことが予想される。

 将来は「中国の香港」として、今までのように香港だけを旅行目的地とする、いわゆる香港モノ・デスティネーションにこだわり続けることは難しくなろう。むしろ、中国観光の行き帰りに必ず通過したくなるような魅力あるゲートウェイとしての地歩を固める必要があるのではないかと思う。そのための手段としては、多種多様な魅力あふれている香港を宣伝するのが最も効果的な方法のように見えるのだが・・・。

 中国の首都北京はもとより、香港の向こうを張りアジアの金融・貿易のセンターを目指す上海、それに、経済発展が目覚しい広東省の省都広州などの大都市は、多くの直行便で直接諸外国と結ばれていく。言い換えれば、中国観光のゲートウェイは香港だけではないのである。特に1300ヘクタールの敷地に開港当初から2本の滑走路(将来は4本)を持つ1998年開港予定の新広州国際空港は、旅客対応能力において香港の当面のライバルとなる。

 同じ年の1998年(8月)開港予定の香港のチェック・ラップ・コック新国際空港の敷地は1248ヘクタールで1本の滑走路で開港し、将来2本に増やす計画である。地理的、経済的、また交通上の有利な立地条件の上にあぐらをかき、香港ほど理想的な中国へのゲートウェイはないと安心してはいられないのである。

 すでに、気になる動きが目の前にチラチラし始めている。日本エアシステムが関西空港と、広州を直行便で結んでいる(日本エアシステム 週3便、中国南方航空 週3便。)平成7年10月2日開設(平成7年8月28日 毎日新聞)。しかも、「食在広州3日間」、「桂林・広州3日間」、「桂林と食在広州4・5日間」、「桂林・昆明と食在広州6日間」、「海南島リゾートと食在広州5日間」・・・と、この直行便開設にともなって華南観光ツアーまでもが数多く用意されているのだが、気にかかるのは、どのツアーも香港をルートに入れていないことである。

 それのみならず、つい最近まで我々が自慢していた『食在香港』が何時の間にかその原点、『食在広州』にすり変わっているのはショックである。人気の桂林も広州からの方がずーっと近い。「海南島こそ香港から・・・」と日頃思っていたのに、広州と直結している。

 このような香港無視は広州直行便開設にともない、広州に大きく焦点を当てる必要があるからだと思うが、何か将来の新しいパターンの一端を示唆しているようで薄気味が悪い。マカオにも国際空港ができ、直接マカオに入り、中山経由で広州に入る珠江デルタの観光ルートもある。

 しかし、何はともあれ、ここではこの新しい空路の開設は将来の華南の開拓を一歩前進させるものとして歓迎しておこう。


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