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数百枚ものステンドグラスが輝くゴシック教会


 ドレスデンからチューリンゲン州を抜けシュトットガルトへ。
チューリンゲン州の話は後程触れるとして、今回はシュトゥットガルトからTGV東線を利用してフランス・メッスを訪れた。

 メッスのシンボルである大聖堂(写真右)、サンテチエンヌ教会(Cathédrale St.Étienne de Metz)はもっとも古い部分でロマネスク時代、主要な部分は15世紀の建築というもの。
街の中心部にゴシック建築特有の天にも届けと言わんばかりの尖った塔が聳えている。建物はもとより、この教会で見事なのは内部のステンドグラスだ。

白色を基調とした大きなバラ窓は繊細な切り絵のような美しさで、祭壇や内陣にはこれまた緻密な絵柄と色彩のステンドグラスが、天井近くにまでびっしり飾られている。

一枚一枚にキリストの受難や聖人像やなどが描かれているが、あまりの高さに上のほうは見ようと思っても見られないほどだ。さらに左の内陣にはシャガールが描いたキリスト受難のステンドグラス(写真左)もある。

「色の魔術師」と言われたシャガールの赤や黄色、青の色彩は、ステンドグラスの光を通すことで一層、幻想的だ。
美術館に飾られた作品では絶対に味わえない感動をもって迫ってくる。

 メッスへは、ドイツのシュトゥットガルトからTGV東線を利用し、ストラスブール経由で約3時間半。独仏国境近辺にいれば日帰りは十分に可能だ。

 メッスの町そのものも歩いて巡れる広さで、クリスマス・マーケットの案内図も出ている。ちなみにアドヴェントの期間中、SNCFの駅前には小さな森と大きなクリッペが登場する。クリスマス当日までキリストの姿はないが、実物大のクリッペは見ごたえ抜群。こちらの方もぜひ足を止めて見てみよう。



バーゼルからフランスへ(1)
ミュルーズのクリスマス・マーケット



 さて、バーゼルからのエクスカーションでフランスへ。
まずは車で1時間ほどのアルザス地方の工業都市、ミュルーズへ到着する。

 ミュルーズのクリスマス・マーケット(写真左)が開かれているのは、赤い砂岩の市庁舎広場前だ。
そういえばバーゼル市庁舎の赤い砂岩は、このフランスから切り出されたものだと言っていた。
13世紀にミュルーズは中世自由都市となり、以後スイスと協定を結んだり、フランス領になったりドイツ領になったりと、三国間を揺れ動いた歴史を思い出す。

 一見すると、市はドイツと同様にオーナメントやキャンドルなどを売る屋台が並んでいるわけだが、やはりフランス!と思わせられるのは、とにかく漂ってくる焼き菓子の匂いがとても美味しそうなことだ。
アルザスのクリスマスのお菓子・クグロフ(写真右)をはじめ、ココナツ風味やチョコレート風味のマカロン、アーモンドの粉で焼いたクッキーや、シナモン入りのキャラメル風クッキーなどが並び、思わず吸い寄せられてしまう。上品で何とも香ばしい香りがする。
お菓子を売る屋台は当然ドイツやスイスにもあるが、やはりお菓子の国・フランスは一味違う。

 マカロンやクッキーの詰め合わせは、1袋5〜10ユーロ。
落ち着いて日本円に計算してみると決して安くはないが、ずっしり重たく食べでがあるうえ、日持ちもするのでお土産にも最適だ。

 グリューワインは、フランスでは「ヴァン・ショー(写真左)」という。「熱いワイン」という意だ。
基本的にフランスのヴァン・ショーはプラスチックのカップだが、近い将来ドイツのように代金を支払えば持ち帰りできるようになるのではないかと、希望的な推測をしてみたりする。

 ミュルーズの市内の見所は、クラッシックカーなど400台以上の車が収められている国立自動車博物館や、フランス国鉄(SNCF)の鉄道博物館Cite du Train(Citeのeはアクサン付)。その他にも染色博物館や壁紙博物館など「テキスタイルの町」ならではのスポットもある。 鉄道&車ファン、テキスタイルファンは二重、三重に楽しめるという、ちょっとオタク心をくすぐられるテイストもある町だ。(TN)



バーゼルからフランスへ(2)
年内いっぱい楽しめるコルマールのクリスマス・マーケット



 先に紹介したミュールーズの他に、スイスのバーゼルから気軽に訪れることができるフランスのクリスマス・マーケットと言えばコルマールだ。
所要時間は車で約1時間半、パリからバーゼルに乗り入れているTGV東線を利用すれば、わずか40分足らずでアクセスできる。

 コルマールのクリスマス・マーケットが行われているのは、ドミニカン広場やジャンヌ・ダルク広場など全5ヶ所。その中には、子供のためのクリスマス・マーケットもある。いずれも歩いて十分回れる距離だ。

 アルザスきっての美術館の一つ、ウンターデルリンデン美術館の傍にある観光案内所では、クリスマス・マーケットのマップが配布されている。あいにく日本語版は無いが、英仏独伊西など複数の言語で用意されているので、マーケット巡りの参考にしたい。


 世界各国から観光客が訪れるコルマールのクリスマス・マーケットは、かなりの人で賑わう。
アートクラフトや菓子などの食料品が売られている室内の市場は、店によっては人をかき分けて見みないと、何が売られているのか分からないほどの混雑ぶりだ。

 屋外に出て、屋台がずらりと並んだマーケットに近づくと、再びお菓子のいい匂いが漂っている。
ドミニカン広場、ドミニカン教会付近の市場(写真左)は、屋台のデコレーションがしっとりとした聖人のデザインでまとめられ、カトリックの国・フランスらしい趣が感じられる。

 フランスのクリスマス・マーケットで、初めてお目にかかった飲み物が「オランジュ・ショー」や「ポム・ショー」。要はホット・オレンジジュースやホット・リンゴジュースだ。

とても甘そうなイメージだが、ただ暖めているのではなく、中にシナモンやレモンなどで味付けしてあって飲みやすい上、やはり体が温まる。値段は3ユーロ前後と、ヴァン・ショーとほぼ同じ。もうヴァン・ショーにが飽きたという人、アルコールが苦手な人や子供にはお勧めだ。

 コルマールには運河沿いのプチ・ヴェニスをはじめ、木組み造りの町並み、ドミニカン教会、ワインの取引が行われた「頭の家(写真右)」のライトアップなど、マーケット以外にも楽しめる見どころがコンパクトにまとまっていて、アルザスの風景がしっとりと堪能できる。

 コルマール観光局では、これらの見所をめぐるツアーを実施している。所要時間は約1時間15分、フランス語で催行されている。クリスマス・マーケットは年内いっぱい開かれているので、市内の主要ポイントを抑えたい場合は参加してみるのもいいだろう。詳細は、http://www.noel-colmar.com を参照。なお、2008年のコルマールのクリスマス・マーケットは、11月22日から12月31日までの10時から19時まで(金曜と土曜は20時まで)開催されている。(TN)
 
●コルマール・クリスマス・マーケット市内ツアー
   (Visites Guidees “La Magie de Noel”)
   期間:2008年11月22日〜12月31日
   時間:18:00〜(12月24・25日を除く、12月31日は11:00〜)
   料金:大人 4ユーロ、12〜16歳 2.5ユーロ



アルザスの州都・ストラスブールのクリスマス・マーケット


 ドイツのシュトゥットガルトから、TGV東線でフランスのストラスブールへと向かう。
駅の出口付近にはクリスマス・マーケット「Marche de Noel」の案内板と観光案内所があり、町のどこでマーケットが開かれているかがすぐに分かるのがありがたい。

 アルザスの州都ということもあってか、ストラスブールのクリスマス・マーケットは、すでに冬の観光としてすっかり定着しているようだ。

 駅前広場に出ると早速マーケットが現れ、スパイスの効いたヴァン・ショーの香りが漂ってくる。
アルザスのマーケットで頻繁に目にするのが、モミの木市場(写真左)だ。

 実は、アルザス地方はクリスマス・ツリーの発祥地。当時ドイツ領だったアルザスで、ワイン業者がモミの木に飾り付けをしたのが始まりだといわれている。そうした伝統もあってか、リースなどもフランス的なお洒落が感じられ、かわいらしい。

 ストラスブールは、木組みの家々が並ぶプチ・フランス界隈や市庁舎広場など、随所にマーケットが行われている場所への案内板も出ていて、非常に歩きやすい。

 フランスで何より楽しいのは、やはり食べ物が美味しいこと。
キッシュ・ロレーヌやタルト・オニオンは、このアルザス・ロレーヌ地方の名物料理だ。

 また、さすがワインの国とうことだけあって、白のヴァン・ショーや「ブルゴーニュ」「ボルドー」など産地指定のヴァン・ショーもある。白のヴァン・ショーは、赤に比べ少しサッパリした味わいが特徴だ。
アルザスは、白ワインの産地としても有名。この白のヴァン・ショーを見つけたら一度味わってみると良いだろう。(TN)