クラクフの冬を彩る2つの風物詩:「ショプカ」とクリスマス・マーケット
クラクフのクリスマス・マーケットは実は新しく、7年ほど前に町の実業家が始めたものだという。
だが、今やすっかりクラクフの冬の風物詩として定着しているようで、マーケットの屋台の前はカメラを向ける観光客や、お母さんにお菓子やボンプキをおねだりする子どもたちなど、大勢の人たちで賑わっている。
週末ともなれば町の市民団体もテントを出し、地元のお母さん達手作りのケーキやスープが売られる。特設ステージでは、上でも下でも民俗音楽や踊りが繰り広げられ、それは賑やかだ(写真左)。
クリスマス・マーケットよりもっと歴史の長い、ポーランド中で有名なクラクフの冬の風物詩がある。「ショプカ・コンクール」だ。
「ショプカ」(写真右)とは、ポーランドでクリスマス・ツリーの下に飾るキリスト生誕を模した人形のこと。このコンクールに出展されるショプカは、金紙や銀紙など、色とりどりの美しい紙で作られたペーパークラフトだ。
それぞれの細工は驚くほどに緻密かつ繊細で、折り、形、色など、本当にペーパークラフトなのかと驚く。
作られた城のデザインなどはどことなく東方風というか、スラブ風とでも言おうか。とてもエキゾチックでポーランド的な香りが感じられるものだ。
作品のモチーフは、馬小屋で生まれたキリスト生誕の様子や教会、ポーランドの伝統的な建物などが中心。主に一般市民が応募・製作し、モチーフに制作された作品のなかから、その年の優秀な作品が選ばれる。
コンクールが行われるのは大体毎年12月7日頃で、当日は中央広場の中心にあるポーランドの国民詩人・ミツケヴィチの銅像の周りに、出展されたショプカがずらりと並べられ、コンクールを通して選ばれた優秀作品は、クリスマスのシーズン中、中央広場の北西角にある書店「CAMENA」に飾られるという。シーズンが終わっても、町中の書店ではショプカの絵葉書や冊子などが売られているので、訪れた時はぜひ足を運んでみて欲しい。
ショプカ・コンクールが行われ、クラクフの待降節(アドヴェント)もいよいよ本格的になる。(TN)
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