ドイツ観光局、「黒い森高原」の観光セミナーを開催
ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州より、ドイツ屈指の景勝地である「黒い森」から観光ミッションが来日し、欧州レジャーツアー担当者および旅行メディアを対象とする観光プロダクト・セミナーを開催した。
来日したのは、黒い森高原観光局のCEOであるトールステン・ルドルフ氏を筆頭に、バーデン=ヴュルテンベルク州観光局とドゥルッパインカミングの代表を合わせた計3名。同地の魅力を伝えるとともに観光プロダクトをアップデート。また、黒い森高原が位置するエリアがドイツに13あるワイン産地の1つに数えられていることから、ドイツワイン広報販売促進の公式機関の在日代表「Wines of Germany」の協力を受け、特産である「バーデンワイン」のテイスティングも行われた。
黒い森高原はまた、日本旅行業協会(JATA)が2017年に新たに発足した「アウトバウンド促進協議会」(JOTC)の欧州部会(以下、Team EUROPE)が選ぶ『ヨーロッパの美しい街道・道20選』に、「黒い森高原街道」として選定された。
これを受けドイツ観光局は、3つの街道が選ばれたフランス観光開発機構、および今年で創業50周年を迎えた老舗ツアー・オペレーターの株式会社ミキ・ツーリスト「ミキ・ラボ」とともにセミナーを共催した。
西山氏はまず、Team EUROPEが命名した「黒い森高原街道」という街道名は、あくまでもJATA独自によるもので、ドイツで有名な「ロマンチック街道」や「メルヘン街道」など、ドイツ国内で公的に認知されたものではないことに言及。だが、「黒い森高原」という地名は実在するとの注意を促した上で、より現実的な企画提案に踏み込んだ。
「カッコウ時計」の故郷として有名な黒い森高原があるのは、バイエルン州の西、フランスやスイスと国境を接するバーデン=ヴュルテンベルク州。州都は、メルセデス・ベンツでお馴染みのシュトゥットガルトである。
同州は、世界遺産の「マウルブロン修道院」をはじめ、天空の城「ホーエンツォレルン」やロットヴァイルのカーニバル、花の島「マイナウ島」などの魅力的な観光スポットが点在し、ドイツの最高級ぬいぐるみブランド「シュタイフ」社もこのバーデン=ヴュルテンベルク州にある。また、新型飛行船「ツェッペリンNT号」のホームタウンとしても知られるところである。
そんなバーデン=ヴュルテンベルク州の南北200キロ、東西80キロに広がるのが、ドイツでも特に風光明媚な場所として知られる「黒い森」。その南に位置するのが「黒い森高原」である。最高地点は、標高1493メートルのフェルトベルクで、山頂からは黒々とした森とそこに点在する美しい湖が望める。
カッコウ時計の他にも、木造の「伝統家屋」や特産のサクランボをあしらった帽子などに代表される特有の「民族衣装」、さらにそのサクランボを使った「キルシュトルテ」でも有名な場所となっている。隣国フランスの人々にとっても、この黒い森高原を含むエリアがドイツのイメージなのだという。
その黒い森にある最大の天然湖が「ティティゼー」。湖畔の森には、オシャレなホテルやロッジが点在している。湖には遊覧船が浮かび、湖やその周辺でのアクティビティも充実しているが、ここでは地ビールの醸造所やガラス工房を訪れたり、カッコウ時計の工房でワークショップに参加したり、郷土料理のマウルタッシェン(ドイツ風餃子)やキルシュトルテのクッキングクラスなども体験できる。
しかも豊かな自然に恵まれながら、湖畔までは鉄道駅からわずか徒歩5分という好アクセスも大きな魅力。駅から湖の北岸一帯にレストランや土産店が軒を連ね、観光の拠点にもなっている。
バーデン=ヴュルテンベルク州内には2017年11月現在、同州から厳選された9軒の5ッ星ホテルが加盟する「ベスト・オブ・サウスウェスト・ジャーマニー」というのがある。いずれもロケーションやインテリア、ダイニングにこだわったプライベートラグジュアリーホテルで、そのクオリティーにも定評がある。
また、黒い森高原ではエリアに点在する約380のいずれかのホテルに最低2泊すると、チェックイン時に毎日100以上の観光アトラクションが無料になる「レッド・インクルーシブ・カード」がもらえるという特典もある。
西山氏は最後、バーデンワインや周辺で楽しめるクリスマスマーケットなどの話題で締めくくり、特にお勧めのツアー素材としてミュンヘンのオクトーバーフェストとほぼ同時期になシュトゥットガルトで行われる、ドイツで2番目に大きなビール祭りの「カンシュタット・フォルクスフェスト」を挙げた。実りの秋を祝う収穫祭として1818年に始まったこのビール祭りは、2018年に200周年を迎える。
西山氏に続き、ミキ・ラボの担当者よりTeam EUROPEの『美しい街道・道20選』にドイツから選定された「黒の森高原街道」の企画素材の提案が行われ、黒い森にある4つの橋と6つのトンネルを抜ける片道25キロの蒸気機関車『豚のしっぽ鉄道』やクロッカスの町として知られる「バート・タイナッハ=ツァーフェルシュタイン」での自然散策、またゲーテが滞在し、マリー・アントワネットもフランスへ嫁ぐ際に立ち寄って休んだとされるラヴェンナ渓谷でのクリスマスマーケットなど、興味深い企画素材が多数紹介された。
Hochschwarzwald
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