ジャーマンレイルパスで行く、子連れドイツ旅行
子ども連れの海外旅行を考えたとき、まず頭に浮かぶ候補は南の島のリゾート。子どもへの負担を考えたとき、すべてが揃っているホテルで滞在型の旅行は家族全員安心して楽しめる。
しかし、今回、小学校に上がった子どもが「ヨーロッパのお城が見たい!」と言い出し、急遽欧州旅行を計画。フランス、スイス、オーストリア、東欧などの候補もあったが、ノイシュヴァンシュタイン城をはじめとする世界的・風光明媚なスポット、比較的良いと言われる治安、日本人の子どもが食べやすいソーセージをはじめたとした料理、大人も楽しめる要素(ビール、歴史、美術館など)を考慮し、目的地をドイツに定めた。
子ども優先でスポットを決め、便利な鉄道旅行を選択
今回、ドイツ滞在できるのは仕事の都合もあり5泊6日。限られた時間でどこを訪れるか、そして子どもでも楽しめる場所はどこかを考えたとき、ノイシュヴァンシュタイン城、ローテンブルク、ハイデルベルク城、ケルン大聖堂は必ず訪れたいと考えた。
地図上でそれらのポイントを結び、効率的なルートを考えた結果、日本からのエアはフランクフルトin・ミュンヘンoutで縦断のルートで決定。アウトバーンを使ったドイツの車旅も面白そうだが、ヨーロッパの経験が少なかったので、便利で安全といわれる鉄道網を使うことにした。
現地購入は時間のロス、チケットは日本で手配
また、ドイツ鉄道旅行をした友人から都度購入する場合、窓口で時間がかかる旨アドバイスもあり、日本であらかじめ手配することにした。チケットはレイルヨーロッパジャパンのHPから、日本で購入可能。オンラインで購入すると、後日宅配便でチケットが届く。
旅程に合ったレイルパスを選択、しかも12歳以下は無料
購入したのは、ジャーマンレイルパスの5日(有効期間1カ月)。1カ月間のうち、使用する日を5日間指定できるタイプだ。5日通用日連続(5日連続で使えるチケット)もあり、こちらのほうが若干割安。しかし、今回はスケジュールの都合上5日を自由に指定できるパスに決定した。1等と2等が選べ、約1万円の差はあるが、後述するICEの1等を経験するため1等に決定。
嬉しいことに12歳以下は無料のため、子どものパスは無料で入手! ただし、無料とはいってもパスは存在するので、大人のパス購入の際、同時に子ども分も申し込むことを忘れずに。
現地到着後、駅の窓口へ!
ドイツに到着し、ジャーマンレイルパスを使うには、まず、最初に駅のインフォメーションで、バリデーション(使用開始手続き)をしなければならない。各駅にある「DB」のロゴのあるインフォメーション窓口で申し込む。今回、翌日の移動が早朝だったため、実際の使用日の前日に窓口に行き、翌日からの使用を申し込んだ。
バリデーションが済むと、パスの右下に印がおされる。「Passport」のところに、パスポート番号を記入し、Signatureのところにサインをする。これで使用できる。
<列車利用時の注意点その1>
プラットフォームの番号はもちろん現地でもわかるが、ドイツ鉄道(DB)のアプリを入れておけば事前に把握できる。特にフランクフルト、ミュンヘンなどの大きな駅ではプラットフォームが膨大にあるので便利だ。
<列車利用時の注意点その2>
列車が発車すると車掌が巡回してくるので、パスを出す。すると下の写真のようなスタンプが押される。
ジャーマンレイルパスの場合、一度スタンプを押してもらえれば、その日は別の列車でもパスを見せるだけでOK。列車に乗り込む前(厳密には車掌がまわってくる前)に、パスを使用する日付を自分で記入しておく。
子連れにうれしいICE1等席、フランクフルトからケルンへはわずか1時間!
ドイツ観光の白眉・ケルン大聖堂があるケルンまでは、フランクフルトからもっとも早いICE(新幹線)で1時間ほど。本数も多いためか1等は空いていた。ICEの1等は1人用、4人掛け、ビジネス用のコンパートメントなど、さまざまな座席タイプがあり、とても清潔。社内ではWi-Fiも使え、速度も快適。
また、1等の意外な利点として、その多くが駅の入り口からもっとも近い場所にあることが挙げられる。ドイツの車両はとても長いので、離れているとかなり歩く必要があるため、子連れで荷物がある場合は1等を断然オススメしたい。
ケルン到着前、だんだんと存在感を増してくる列車内から見えるケルン大聖堂は圧巻の一言。鉄道の旅の醍醐味が味わえる。
鉄道旅行のマストアイテム「DB Navigator」
乗り換えのルートを保存しておくこともでき、オフラインでも確認可能。ドイツ語がわからなくてもプラットフォーム番号や駅名をメモっておけるので迷う心配も少ない(アプリは英語対応)。
また、常時接続が可能であれば、遅延情報も反映される。ドイツの鉄道は遅れることで有名で、到着するプラットフォームが突然変わることもある。アナウンスはドイツ語なので、アプリがあると無駄な乗り遅れなども防げる。子連れでの移動にはおすすめ。
同じICEでも路線により混雑具合は異なる
席の上部に表示される「GGF. RESERVIERT」は、「予約があるかもしれない」という意味。誰もいなければ座っていても問題ないが、予約者が来た場合席を譲る必要がある。必ず座りたければ事前予約を。
ヴュルツブルクからローテンブルクまではローカル線で2度乗り換え。ICEとは異なり、牧歌的な風景のなか進む鉄道旅行だった。ヴュルツブルクからはあまり本数がなかったので、乗り遅れないよう注意したい。
ドイツの駅のロッカーは大きく、スーツケースも預けられるので、体力と時間に余裕があればヴュルツブルグ観光ルートに入れてもよかった。
鉄道旅行の合間にバス旅行
ドイツの地方をめぐる鉄道旅行は非常に魅力的だったが、時間の都合上ローテンブルクからフュッセンまではバスを使用。ネルトリンゲンなど、それぞれの都市滞在は30分ほどだが、アクセスしにくいヴィース教会も行ってくれるのがポイントだ。
フュッセンでは旅行の目当てのひとつであるノイシュヴァンシュタイン城を見て、ミュンヘンまで鉄道の旅。ICEではないが、快適な長距離列車だった。
ジャーマンレイルパスは、近郊都市を結ぶSバーンも含まれる。ただし、大都市の地下鉄(Uバーン)は別料金なので注意。チケットなしで乗っていると罰金をとられる。
ちなみに、ドイツの駅には喫煙所がホームに設置されている場合が多い。愛煙家にはうれしいが、スモーカーがたむろっているので子連れ旅行だと注意したい。
レポーター |
石原 翔 |
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取材時期 |
2017年7月 |
取材協力 |