まだあります!ドイツの季節のスープ
ハチミツのビールに続きホワイトアスパラのスープと、今週はドイツの春の味覚をご紹介していますが、ドイツにはもう一つ忘れてはならない春の食材があることをご存じですか?
そう、ピリッとした辛さと特有の香気が特徴の「クレソン」です。
現在では世界中で食されているクレソンですが、もともとはヨーロッパ原産の野菜。ギリシャには「クレソンを食べて知恵を得よ」という言い伝えがあるほど、ポピュラーな野菜です。日本にはこのクレソンがオランダから伝わったことから、和名はオランダがらしや西洋ぜりと呼ばれていますが、クレソンと言う名前はフランス語の「Cresson」をそのまま用いたもの。14世紀からフランスで栽培されていたこのクレソンがドイツで栽培されるようになったのは、17世紀に入ってからと言われています。
さて、ドイツでは日本の薬膳感覚で、さまざまな病気の治療にハーブが使われています。ビタミンCや鉄分を多く含むクレソンもその一つ。サラダやメインディッシュの付け合わせとして日本でもお馴染みですが、ドイツではその風味を活かしたスープでも頂きます。現在クレソンは通年流通していますが、もともとは春の野菜。栄養面においても、またこのクレソンの風味を最大限に楽しむなら、やはり旬である春がお勧めです。
このクレソンのスープ、実はドイツだけでなく欧米の各地でよく飲まれていますが、チューリンゲン州の州都であるエアフルトには「Erfurter Kressesuppe」という町の名を冠したクレソンのスープがあります。聞くところによると、このスープはエアフルト名物の一つでもあるそうです。クレソンはキレイな山水の流れるところによく自生していることで知られていますが、まさにクレソンは豊かな森が広がるチューリンゲンの自然の恵みを象徴するものなのでしょう。
そこで情報を聞きつけ早速頂いてみたのが、上の写真のスープ。ガラスの器に入っていますが、こちらは温かいスープです。
じゃがいものとろみが少し強めの印象のものが多い他の地域のスープと比べ、このお店のものはもう少しサラッとした味わい。ですが、青汁のような苦み臭みは感じられず、美味しく頂きました。(注:お店により味に違いがあります)
「西のケルン、南のレーゲンスブルク」と言われるように、ドイツは南や西へ行くほど歴史が古くなり、北や東へ行くほど歴史は浅くなります。そのちょうど中央に位置するチューリンゲン州は、歴史の深さもその中間にあり、独特な文化が築かれたエリアでもあります。食文化も然り。チューリンゲン州へ行ったら、他州では味わえない味覚をご堪能下さい。
このスープがメニューになくても、材料が揃えば特別に作ってもらえる場合もありますので、興味のある方はお店で相談なさってみて下さいね。(取材協力:ドイツ観光局/エアフルト観光局/レイルヨーロッパ・ジャパン)
(写真はイメージです)
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