イタリア商工会議所が「サン・マルツァーノ」をテーマにしたイベントを開催 オーセンティックなイタリアの食文化をアピール

2023年03月16日 掲載

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San Marzano

細長い円筒形をしたイタリアを代表するトマト品種「サン・マルツァーノ」
(出典:Il mio San Marzano



会の冒頭では、イベントに臨席したジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使が挨拶。その中でベネデッティ大使は「トマトはイタリアの食品産業および食文化を象徴する食材で、海外でイタリア、特に「ピッツァ」を語る時には欠かせない食材である」と紹介。そして、そのピッツァは「今や日本では、日本人がお鮨を食べるのと同じくらい消費されている。これは我々にとって大きな誇りである」と述べた。

また、日本には5万を超えるイタリア料理店があることにも言及。その数に含まれるナポリ・ピッツェリアの多くは日本人のピッツァ職人が経営しているとし、「彼らは本場イタリアで修行しただけではなく、そこで暮らし、イタリアの味覚を習得している」と、そのクオリティを高く評価。また、今後も「本格的なイタリア料理とワイン文化の促進に向け、独自性に関する新たな発信を継続していく必要がある」と、その重要性を語った。



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ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使




南イタリアの大地の恵み 「サン・マルツァーノ」


イタリアを象徴する野菜といえばトマト。その歴史は、ペルー王国からナポリ王国への贈り物として伝来した1770年にまで遡る。その代表格といえるのが、細長い円筒形をした真っ赤な「サン・マルツァーノ」だ。

ヴェスヴィオ山の麓、肥沃な大地で育てられたサン・マルツァーノは「赤い黄金」と呼ばれている。皮が薄く、密な果肉を持つ高品質なトマトで、特にリコピンの含有量が高い。その抗酸化物質の含有量の高さは、米・フィラデルフィアの大学で受けた試験でも立証済み。美味しくて健康に良い、まさに南イタリアの大地が生み出す恵みの食材である。



Fusilloni al San Marzano Solania

サン・マルツァーノを練り込んだラセン形のショートパスタ「フジローニ」




◆ ソラーニア社の「私のサン・マルツァーノ ~ Il mio San Marzano」プロジェクト

ベネデッティ大使によると、2022年のイタリアから日本への輸出総額はおよそ10億ユーロ。日本市場は農産品、とりわけトマト加工品とパスタにおいては、イタリアの最大の商業パートナーであるという。

3月7日から10日まで東京ビックサイトで開催されたアジア最大の食品見本市「FOODEX JAPAN」に、今年もイタリアから170社が出展したことからも、彼らにとって日本市場がいかに重要か、またそこにかける意気込みが伺える。

出展企業の一つ「ソラーニア社」は、100%信頼のおけるサン・マルツァーノを製造するブランド。本イベントで登壇したジュゼッペ・ナポレターノ氏によると、同社では「私のサン・マルツァーノ ~ Il mio San Marzano」というユニークなプロジェクトを展開しているという。



ジュゼッペ・ナポレターノ氏

「私のサン・マルツァーノ」について説明をする
ソラーニア社のジュゼッペ・ナポレターノ氏




「私のサン・マルツァーノ ~ Il mio San Marzano」は、州内の土地を選んで購入(レンタルも可)した畑の所有者(主としてシェフなどの飲食業界関係者)に対し、ソラーニア社がQRコードを通じて、そこで育てられたサン・マルツァーノトマトの品質を保証するというもの。これにより持ち主は、自分の畑のサン・マルツァーノがいつ収穫され、いつ加工されたかを正確に知ることができる。

ソラーニア社では、自分の子供を育てるように大切に栽培したサン・マルツァーノトマトを、ブドウのように一つ一つ丁寧に手摘みし、新鮮さが損なわれないうち(24時間以内)に加工することを保証しており、ナポレターノ氏は「収穫時期の7~9月にサン・マルツァーノを訪れてもらえば、その品質を肌で感じてもらえるはずだ」と胸を張る。



日本国内のピッツァの品質を保証「AQI PIZZA」


サン・マルツァーノは種が少ないため、火を通しても煮崩れしにくく、また加熱によってその美味しさが増すという特徴があることから、生食よりも過熱調理に適したトマトである。その甘酸っぱさはパスタとの相性も抜群だが、とりわけその実力を遺憾なく発揮するのが「ピッツァ」である。

『ガラージ・ピッツァ ~ Garage Pizza』は2018年4月、イタリアのフード媒体『Dissapore.com』のシニアエディターで、イタリア No.1 のピッツァ・ブロガーであるアントニオ・フチート氏が、ピッツァ愛好家に向けて立ち上げた、ピザではない「ピッツァ」に特化したデジタルガイド。同ウェブサイトでは、フチート氏が実際に店に足を運び、説得力のあるレビューを執筆するなど、有益な情報をイタリア語、英語、日本語で発信。また、サイト内の検索エンジン「Pizza Advisor」を活用すれば、食べたいピッツァを簡単に探し出すことができる。



Giuseppe e Antonio

『ガラージ・ピッツァ』の創業者で、イタリア No.1 のピッツァ・ブロガーのアントニオ・フチート氏




在日イタリア商工会議所が2020年、『ガラージ・ピッツァ』と共同で立ち上げたプロジェクトが「AQI PIZZA」。これは正真正銘のイタリアのピッツァを一般消費者に広く紹介することを目的に、日本国内で味わえる本格ピッツァの品質を保証するというもので、単なるイタリアン・ピッツァの紹介やランキングではなく、そのお店が「いかにイタリアの食材を積極的に使っているか」という点に焦点が置かれている。

この「AQI PIZZA」プロジェクトでは、日本全国のピッツァ職人やイタリア料理人、また本物のイタリアのピッツァの知識を高めたいという人に向け、有意義なネットワークを構築するだけでなく、認定ピッツェリアに証明書(ロゴ)を発行し、公式HPやSNSを通じて店舗のプロモーションにも活用することもできる。



知られざるワインの聖地「アブルッツォ」


今回のイベントでは「FOODEX JAPAN」に出展したアブルッツォ州産のワインも提供された。
イタリア中東部、アドリア海に面したアブルッツォ州は、アッペンニーノ山脈を中心としたイタリア最大級の国立公園を擁する豊かな自然と、たくさんの特徴的な食文化に恵まれた州。ワイン造りも盛んで、「知られざるワインの聖地」でもある。

そのアブルッツォ州の代表的なワインといえば、伝統的な黒ブドウ品種で造られた「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」が有名だが、近年はかつての量産型から脱却すべく、伝統を受け継ぎながらもテクノロジーを駆使した、人にも環境にも優しいサステナブルなワインが次々に生み出されている。また、女性醸造家が活躍するなど、ダイバーシティ化が進んでいることでも注目されている。



vini dell'Abruzzo

アブルッツォ州のワイン




海と山の食材に恵まれたアブルッツォ州では、伝統料理も大きな魅力。例えば、ここで生まれたギターの弦を張ったような道具で作る四角いパスタ「マッケローニ・アッラ・キタッラ」や、羊の串焼き「アロスティチーニ」といった郷土料理は、アブルッツォ州を訪れたら味わっておきたい味覚だ。

アブルッツォは、団体旅行で好まれるような有名観光地が少ないことから、日本での認知度がまだ低いが、スローフードの精神が息づいた土地。これからのSDGsな旅先としても、益々注目を集めるに違いない。


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