香港ワンダー・コラム

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 香港ワンダー・コラム
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed



焦り、苛立つ香港人


 色々な厳しい条件を克服し、すでにカナダとかオーストラリアなどへの移民に成功し、その国の国籍を取得している「旧香港人」は気が楽である。

 住み慣れた香港に舞い戻って仕事をしていても、中国返還後、いざとなったら直ちにその国のパスポートで逃げ出せる。

 しかし、移民をする意思がなかったり、何らかの事情で移民できなかった香港人は、返還後香港に何が起こってもとどまるしかない。先行きの不安を拭い切れない彼等は、近い将来新しい主権者の下で生活の基盤をしっかり固めるためには、今、何をなすべきか、と必死に模索を続けている。

 「成るようにしかならない」という心境にまだ到達していない人達は、今までの自由な生活は果たして保証されるのだろうか? 『1国2制度』とはいっても、共産主義の主権者の下で成功するには何か近道があるのではなかろうか? などと思い悩み、右往左往する。

 中国は基本法で『港人治港』(香港人が香港を治める)や『50年不変』を保証している。しかし、共産党の統治下に入ったら、何が起こるか分かったものではないと恐れおののく人達も多い。

 香港人の一部には人権法の扱いにこだわり、また、あくまでも言論・集会・報道などの自由も含め、返還後の『自由香港』を守ろうとする「民主派」の人達がいる。

 しかし、一方で、主義主張にはこだわらず、多少のストレスは残ってもこの際、模範的な「中国人」として新しい主権者に気に入られるように上手く立回り、自分の功利だけを追及しようとする人達も存在している。

 このような、「逆らっても何の得にもならない」とする〈利口な〉迎合主義が、やがて政治家から一般庶民に至るまで、すべての社会階層に広く蔓延していく。                   
 かくして、香港では「香港人意識」にこだわる層より、「中国人」としての自覚を高めようとする層が圧倒的に多くなり、やがて、「親中派」(見せかけも含め)が香港人のマジョリテイを占めることになるのではなかろうか。

 その親中派の中でも急進的な人達は、できるだけ早く自らの「中国人意識」をかき立てようとするにとどまらず、意図的に、「中国人意識に燃える愛国主義者」、しかもその急先鋒だということを行動で示そうとする人達もでてくる。         

 返還前から愛国主義者としての活動の実績を積み上げ、人より一歩先んじて名前を売っておけば、時が来れば何かと有利な見返りに恵まれるのではなかろうか・・・と算盤をはじくのである。



PREVNEXT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16


このページの先頭へ