映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台を歩く
映画公開から2015年に50周年を迎えた『サウンド・オブ・ミュージック』。不朽の名作と呼ばれるこの作品の舞台となったのがザルツブルク。街の中心部とその周辺には、「ミラベル庭園」や「レジデンツ広場」をはじめ、「ノンベルク尼僧院」や「フェルゼンライトシューレ」「サンクト・ペーター墓地」「レオポルズクローン宮殿」など、映画の名シーンを思い起こさせてくれる場所が数多く残されている。
「ドレミの階段」があるミラベル宮殿
ザルツブルクを旅するなら、やはり足を運んでおきたいのが映画のロケ地。中でも列車でザルツブルク中央駅に到着して、最もアクセスし易いのが、車でわずか数分の距離にある「ミラベル宮殿」だ。
ザルツブルクのシンボルであるホーエンザルツブルク城を望むこの宮殿は、大司教であったヴォルフ・ディートリヒが愛人サロメ・アルトのために建築したもの。その後、1721年から1727年にかけてバロック様式に改築された。ギリシャ神話をモチーフにした石像や噴水がある庭園は人気で、特に色鮮やかな花々で彩られる初夏は訪れる人々を魅了している。
世界遺産に登録されたザルツブルク旧市街で、その街歩きの起点となるのが大聖堂と大司教の居城に面した「レジデンス広場」。ここでノンベルク尼僧院からトラップ家へ向かうマリアが、『自信を持って』を歌うシーンが撮影された。
アルプス以北で最も美しいと謳われるバロック様式の噴水があるこの広場では、夏には屋外コンサートが、冬のアドヴェント・シーズンにはロマンティックなクリスマスマーケットが開かれる、ザルツブルク市民にとっての憩いの場所となっている。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』のロケ地でちょっと面白いのが、そのレジデンス広場から数分の距離にある「聖ペーター墓地」。西暦690年に聖ルペルトゥスが開いた僧院にあるこの墓地では、観ていてドキドキしてしまうドラマティックな逃亡シーンが撮影された。敷地内には、初期キリスト教時代のカタコンベ(洞窟)もあり、単に映画のロケ地だけではない立派なザルツブルクの観光スポットである。
また、この墓地のすぐ近くにトラップ一家が揃って『別れの歌』を歌い、男爵が『エーデルワイスの歌』を披露した劇場「フェルゼンライトシューレ」がある。
水辺に佇む美しい邸宅「レオポルズクローン城」
ザルツブルクの中心部から車でおよそ15分、水辺に佇む美しい「レオポルズクローン城」は、トラップ男爵邸となった邸宅だ。劇中では建物の正面玄関が登場し、目の前に広がる一見小さな湖と見間違えるほどの大きな沼で、ボート遊びをしていて転覆するシーンが撮影された。
1736年から1740年にかけて、当時のザルツブルク大司教であったフィルミアン男爵レオポルト・アントン・エロイテリウスが建造したこのロココ調の美しい城は現在、ホテルとして営業している。その前にはザルツブルクの美しい自然が広がり、背後にはザルツブルクのシンボルでもあるホーエンザルツブルク城が望める。
後期ルネッサンス様式のこの美しい宮殿の庭園で、『サウンド・オブ・ミュージック』の中でも特に印象的な『もうすぐ17才』の場面でお馴染みのガゼボがある。劇中では「レオポルズクローン城」に設置されていた。
ザルツブルクは世界遺産に登録された旧市街も美しく、見どころも多く集まっているが、この町の持つ本来の美しさはこうした城や宮殿が点在する郊外に見られる。
『サウンド・オブ・ミュージック』のファンに限らず、ザルツブルクを訪れたら散歩がてら郊外まで足を延ばして、その魅力を存分に堪能してみてはいかがだろうか。
次回は「モーツァルトの時代に思いを馳せる」
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