更新日 : 2017年12月11日

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ヘルブルン宮殿

ヘルブルン宮殿の中庭には400本ものツリーの森がお目見え



旧市街だけでも十分に魅力的だが、ザルツブルクの底力はそれだけにとどまらない。ザルツブルク郊外にも一度は訪れてみたいクリスマスマーケットがある。そこで今回取材したのが、ヘルブルン宮殿とザンクト・レオンハルトである。


大人も子どもも楽しめる宮殿のクリスマスマーケット

ドイツを発祥とするクリスマスマーケットは、近年ヨーロッパ域内の各地で開催されるようになった。とはいえ、当初はドイツに比べると、どこも見劣りしてしまう印象が否めなかったが、それも今や昔の話なのかも知れない。まさかオーストリア、しかもザルツブルクの郊外で、こんなに素敵なクリスマスマーケットに出逢えるとは!


ヘルブルン宮殿

屋台には女子心をくすぐるオーナメントも満載

ザルツブルク郊外にある「ヘルブルン宮殿」は、17世紀に大司教マルクス・シティクスがイタリアの芸術家に造らせた夏の離宮。遊び心から生まれた水仕掛けや、名画『サウンド・オブ・ミュージック』に登場するガゼボがあることでも有名な宮殿である。
後期ルネッサンス様式のこの美しい宮殿で、大人から子どもまで楽しめるクリスマスマーケットが開催されている。

入口から宮殿に向かって歩いていくと、まず目に飛び込んでくるのが窓をアドヴェントカレンダーに見立てた宮殿の正面にあるクリスマスツリーの森。13,000個もの赤いオーナメントで飾られた400本のツリーが所せましと並べられ、ちょっとした迷路のようになっている。手前には薪を積んだソリ。それを囲むように、女子心をくすぐる可愛らしいオーナメントや地元のBIOチーズなどの屋台が並ぶ。もちろん、フードスタンドもある。

この宮殿のクリスマスマーケットの魅力は、そればかりではない。宮殿に向かって右側の一角には子どものクリスマスマーケットもある。12月5日にはイベントが行われる日本のナマハゲのような「クランプス」の村をはじめ、フェイスペインティングをしてミニサイズの山小屋で遊んだり、動物とのふれあいコーナーでポニーに乗ったり、焼きマシュマロを食べながら暖を取ることもできる。敷地内はもちろん、完全なバリアフリーが実現されている。
 


ヘルブルン宮殿3  Hellbrunn_15

左:マシュマロを焼いて食べる子供たち
右:ミニサイズの山小屋で遊ぶ子供たち

 


そんなヘルブルン宮殿のクリスマスマーケットにやって来たら、お勧めしたいのが2016年から始まった観光用の乗り合い馬車(フィアカー)。現地の人もあまり訪れない宮殿の庭を、約20分かけてゆっくりまわる。

森としか思えない広大な庭に響く馬の蹄の音と、そこに広がる光景はまるでモーツァルトの時代にタイムスリップしたかのよう。その途中には、高さ8メートルもある「クリスマス天使」も見られる。馬車には毛布も用意されていて、希望すれば御者の横の席にも座らせてもらえる。

クリスマスマーケット開催期間中の土・日・祝日限定だが、1人たったの3ユーロ(2016年12月現在)で朝10時から6時まで楽しめる。チケットは、クリスマスマーケットのチケットブースで販売されている。

商業ベースになりがちなクリスマスマーケットだが、ヘルブルン宮殿ではひと味も二味も違った夢のある、魅力的なクリスマスが体験できる。
 


クリスマス天使  公園

左:高さ8メートルあるクリスマス天使
右:広大な庭を20分かけて馬車でゆっくり巡る

 



ザンクト・レオンハルトの心温まるクリスマスマーケット

ザルツブルクの中心部からバス(25番)でおよそ25分。グルーディックという地方に、ザンクト・レオンハルトと呼ばれる可愛らしい村がある。シンボルは、標高1853メートルのウンタースベルク山。歴代のザルツブルク大司教や古くはフランク王国のカール大帝が、宮殿や教会を建築するために大理石の石切り場として利用した山で、展望台からはホーエンザルツブルク城も望む。

村の名前は聖人レオンハルトに由来。中心部には、もう一つの村のシンボルでもある高さ63メートルの塔のある巡礼教会があり、クリスマスマーケットはその階段下の広場で開催されている。ウンタースベルク山は、もちろんこの場所からも眺められる。

ザンクトレオンハルトのクリスマスマーケット

日没後の雰囲気も抜群にロマンチック

ここの素晴らしさは収益がすべて慈善福祉に寄付されるという点だ。入口には、1973年から前年まで集まった寄付金の額が表示されている。2015年には100.000ユーロあまり、1997年には最高額となる2,127,259ユーロが記録されている。

この村がどのくらい裕福なのかは分からないが、村の大きさを考えれば相当の額には違いない。なかなか他には真似のできない、心から温まる立派なクリスマスマーケット。小さいながらも、日没後の雰囲気も抜群である。

すぐ近くに大きなホテルレストランもあるので、そこで早めにランチを済ませてからケーブルカーで山へ上り、村に降りて来て情緒あるクリスマスマーケットをゆっくり堪能するのがお勧め。ケーブルカーの時刻もあるので山の上まで行くとなると若干駆け足になるかも知れないが、車で移動すればヘルブルン宮殿のクリスマスと組み合わせた楽しみ方も十分にできる。そういう距離感である。

この村では、時間に余裕があれば巡礼教会の無料クリスマスコンサートも楽しみたいところ。アドヴェントの季節には、教会の入口には大きなクリッペが展示されているが、このクリッペには一つ何故かあるはずのないものが… それは自身の目でじっくり見て探してみよう!
 


ザンクトレオンハルトの教会  ザンクトレオンハルト

左:隣接の教会ではクリスマスコンサートが開催されている
右:背後にウンタースベルク山を望むクリスマスマーケット

 
 

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