香港ワンダー・コラム

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「新生香港」に巻き起こる観光ブーム!?


返還前の「香港ブーム」


 返還前の香港観光の過熱ぶりは凄まじいものがあった。特に日本人は「返還前の香港を一目見ておこう」と奔流のように香港に押し寄せたのである。

 1995年に香港を訪れた日本人観光客の数は1,691,283人(1994年は1,440,632人)だったが、返還の前年の1996年にはなんと2,382,890人で一挙に対前年度比 40.9%の上昇を示した。まさに香港観光始まって以来のレコードである。

 この香港ブームは、直接的には、香港返還が迫るにつれ高ぶるマスコミの異常な関心によるもので、その熱の入れようは時に英国本国以上のものがあったという。あふれる香港の話題とそのコンスタントな市場刺激が例を見ない香港観光特需を招いたのは間違いない。

 その背景には自由主義経済の下で、まれにみる発展を成し遂げた「香港」の主権が、英国から共産党1党が支配する中国に返還されるという歴史的大回帰、特に、その中国が『1国2制度』という、前代未聞のユニークな発想の下で、50年間という期限があるものの、香港の資本主義を許容するというエポックメーキングな試みがあり、日本人の関心を大いに引きつけたのである。

 また、『50年不変』とか『港人治港』などが謳われてはいても、返還により香港の「政治的中国化」が進むのは避けられないであろうし、身近かな香港が何となく《遠くに行ってしまう》ような気がして、人々は今の内に返還前の香港を見ておこうと押し寄せた。 

 香港観光協会も、すかさずこのブームに乗り『香港に急ごう』と煽りに煽る。ホテルなど旅行関連業者も目の前の膨脹する需要に、好機逸すべからずとばかり極限ぎりぎりまでの稼ぎに走る。


ブームの反動による退潮


 返還の年の1997年に入ると、この上昇傾向は目に見えて鈍化し始め、2月頃から前年度に比べマイナスに転じ、4月は(ー)25.2%、5月も(ー)23.8%とそれぞれ大幅なダウンを記録した。

 穏やかでないのは香港の受入れ側である。返還前の香港ブームの反動で、これからはますますマイナス傾向が続くのではなかろうかと心配する。

 そこで、再び世界の注目を香港に引きつけ、この客離れに歯止めをかける必要があり、即効性のある対応策は何かと真剣に模索する。


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