香港ワンダー・コラム
香港を動かしているのは女性だ、という感じがしてならない。私の周囲の香港の男性は、女性のエネルギッシュな力強い仕事ぶりの前では何となくか弱く見える。それは常に女性を立てながら誠実にジェントルマン振りを発揮しているからなのかも知れない。
香港では女性の管理職がやたらと目立つ。香港観光協会本部を例にとっても、理事長を始めとし、財務、マーケテイング活動、情報開発などの重要な役職7つの内、6つの責任者は女性で占められている。中国返還前の香港最後の行政長官も女性のアンソン・チャンである。
職場では完全な男女同権である。女性、男性の差別は全くない。むしろ仕事に取り組む姿勢の評価では女性上位ですらある。女性のボスをもつ男性は彼女の強力なリーダーシップのもとで忠実に仕事に励む。女性だからと舐めてかかるような男性は香港には一人もいないし、そんな男性は香港では生きていけない。
香港の女性は、英国式の徹底した『レデイファースト』がそうさせるのか、非常にプライドが高い。男性はまた、そんな女性を支え助けることこそ真のジェントルマンシップと心得ている。
香港の大部分の家庭では『かかあ天下』で『亭主関白』は皆無とはいわないまでも非常に稀である。余談だが、そのためか、「黙って俺についてこい!」で万事処理できそうな、従順そうな日本女性は一部の香港男性には非常にもてる。しかし、いざ結婚となると香港の伝統的な因習とかに阻まれ事はそう簡単には運ばないようだが・・・。
仕事の関係で数多くの香港人のカップルと食事を共にする機会があったが、全部共稼ぎで、しかも、私の回りでは奥さんの方が社会的地位が高い例が多かった。社会的地位とは関係ないが、例えばレストランを何処にするか、何時にするか、何を食べるか、食事の後どうするかなど、私の意向を聞きながらすべての決定は例外なく奥さんがする。ご主人がブツブツ意見をいうことがあっても、「駄目ヨ、そんなの!」の奥さんの一言で立ち所に否決される。
こんな強い奥さんも、仕事を終え二人っきりになると、『かわいい女』に変身するのだろう。
そうでもなければ香港の男性の立つ瀬がない。