4.地中海の恵みに舌鼓
ギリシャワインの名産地はあの英雄の生誕地!
キリストは弟子に「私はブドウの木、あなたがたは枝である」と、自身をよくブドウの木に例えて説教をした。
一説によると、実は自身を例えるのはリンゴでもオレンジでも、他の果実の木であっても良かったのだという。
では、なぜキリストはブドウの木を選んだのか。それはその時代すでにシリアやパレスチナ地方を中心とする地中海東岸地方で、ブドウの栽培が盛んに行われていて、人々にとって身近な存在であったからだそうだ。
ギリシャでのワイン造りの歴史は、そうした新約聖書の時代や、イタリアやフランスよりも遥か昔、西暦前4000年頃にまで遡る。土着品種は、古代ローマの詩人に言わしめただけでも300種にもおよび、うち40種類あまりがワイン造りに使われている。
そんなギリシャで、ワインの品質を飛躍的に向上させる「ギリシャワイン ルネサンス」が巻き起きたのは1980年代後半。フランスで訓練を受けた栽培学者や醸造学者たちの帰国を機に、投資が集まるようになったのだ。
これに伴いギリシャでも、力ベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどの国際品種のブドウ栽培が進み、それまで主流だった古典的なワインから、より現代的なワインへと醸造スタイルが変化。そして、従来のイメージを一新する個性的なギリシャワインが、次々と市場に出回るようになった。
ペロポネソス半島の北東部に位置するネメアは、ギリシャを代表するワインの名産地。ここはギリシャ神話の英雄ヘラクレス生誕の地としても知られ、ネメアを代表する固有品種の「アギオルギティコ種」(別名:セント・ジョージ)から造られるワインは、「ヘラクレスの血」とも呼ばれている。
このアギオルギティコは、育てられる畑の標高により表情が変わるという面白い特性を持つ。柔らかなタンニンと程よい酸味が感じられるバランスの良い品種で、カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドにも、近年よく使われている。
そんなネメアにある「ドメーヌ・スコラウス」は、近年メキメキと腕を上げている新鋭の造り手の一つである。ギリシャ語で『偉大なるワイン』を意味する「Megas Oenos」は、2007年と2008年に2年続けてテッサロニキ国際ワインコンクールに出品され、それぞれ2000年と2005年のビンテージがグランド・ゴールドメダルに輝いた。また、毎年デュッセルドルフで開催されるドイツ最大のワイン見本市「PROWEIN」では、「Grande Cuvee 2005」が3ツ星を獲得、さらに2013年には「Synoro 2008」と「LABYRINTH 99-08」が、パーカーポイントで90点の高得点をマークするなど、国際的な評価も高い。
とは言え、味覚や好みは人により異なることから、こうした賞は一つの基準にしかならず、品評会で受賞した銘柄が「絶対」というわけでもない。ギリシャワインの楽しみは、バラエティー豊かな土着品種にあることも覚えておいて頂きたい。ペロポネソス半島では、そうした「ギリシャワインの知られざる魅力発見」も、旅の一つのテーマとしてお勧めである。
■ ドメーヌ・スコラウス
Domaine Skouras/Κτήματος Σκούρα
ワイナリー見学 | 要予約(オンラインにて受付可能) |
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住所 | Sternas, Μalandreni, Argos 212 00 |
アクセス | アテネから約1時間15分(GPS: 37.689690, 22.654780) |
ウェブサイト |
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