4.地中海の恵みに舌鼓
ギリシャ人とオリーブオイル
消費量はなんと世界一。シンプルかつ豪快に調理された食材にたっぷりかけられる、ギリシャの食卓に欠かせないものと言えば「オリーブオイル」。ギリシャ国内の至るところでオリーブの木が植えられ、その数を見ていればオリーブがいかにギリシャ人にとって大切で、身近なものであるかが良くわかる。
しかも絞りたてのエキストラ・ヴァージンオイルは、イタリアに高級品として輸出されているほど品質が高いとギリシャの誰もが胸を張る。ペロポネソス半島南部のスパルタは、ギリシャ屈指のオリーブの名産地。そこにギリシャのオリーブやオリーブオイルの歴史を紹介する博物館があるので、ご紹介することにしよう。
オリーブと言えば、旧約聖書の『ノアの方舟』の物語にも登場する、長~い歴史を持つ植物。数々の研究の結果、オリーブの木は軽く紀元前1万年以上も前から生育していたと考えられている。
そうしたオリーブのギリシャにおける歴史は、女神アテネの伝説に始まる。古代オリンピックでは、勝者に野生のオリーブの小枝を輪にした「オリーブの葉冠」が授けられ、また「平和のシンボル」にもなっていた。
紀元前16世紀にフェニキア人によってギリシャの島々にもたらされたオリーブ栽培は、国土の大半が石灰質の岩盤ででき、水はけが良く、極端に雨の少ないギリシャの土壌とマッチ。紀元前14世紀から12世紀には、ギリシャ本土にもオリーブ栽培が定着した。やがてオリーブ栽培は重要な産業になるまで発展し、紀元前4世紀にはアテネの政治家ソロンが、オリーブ栽培に関する厳しい保護令を発令したというのは有名な話である。
この「オリーブ&ギリシャオリーブオイル博物館」では、オリーブの葉の化石などの資料や動く模型、実際に使用されていた器具などと共に、古代から続くオリーブオイル生産の歴史が分かり易く紹介されている。地下展示室の一角には、たくさんのオリーブオイルが並ぶミュージアムショップもあるので、スパルタ観光の際に立ち寄ってみてはいかがだろうか。
余談ではあるが、オリーブという文字は古代ギリシャ時代からほとんど変化がなく、古文書にある「オリーブ」の文字だけは、古文が分からない現代人も読めてしまうのだというから驚きだ!
■ オリーブ&オリーブオイル博物館
Museum of Olive and Olive Oils/Μουσείο Ελιάς Σπάρτης
休館日 | 火曜、1/1、イースターサンデー、5/1、8/15、11/26、12/25、12/26 |
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住所 | 129 Othonos–Amalias St, 231 00 Sparta |
ウェブサイト |
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