モーツァルトの時代に思いを馳せる
旅の愉しみは人それぞれ。なので、最新のトレンドを求める旅も悪くはない。だが、古くから豊かな歴史や文化を築いてきた国々では、その国や町だからこその体験は忘れずに取り入れたいものである。
ザルツブルクと言えば、何を置いてもモーツァルト。モーツァルトが生きた時代の街並みが今なお息づくこの町では、その存在をより身近に感じてみたい。
モーツァルトを聴きながら味わう優雅なディナー
ディナーコンサートが行われるのは、店の2階奥にあるため息がでるほど優美で音響効果も抜群なバロックサール。アドヴェントの季節には、大きなクリスマスツリーが飾られ、ロマンチックな雰囲気につつまれる。
地元のオペラ歌手男女2名が、テーブルの合間を縫うように移動しながら、モーツァルトがザルツブルク時代に作曲した『魔笛』や『ドン・ジョヴァンニ』などを演じ、聴衆をモーツァルトの時代へと誘う。この日は、当時の衣装を纏った奏者による『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』のアンサンブル演奏もあった。
用意される食事は3コースメニュー。いずれも17世紀から18世紀にかけての伝統的なレシピに基づいた料理で、コンサートの合間に供される。その雰囲気や耳でだけでなく、舌でもモーツァルトの時代が満喫できる。
となると最後に気になるのがドレスコードだが、観光客の利用も多いので意外にもラフな印象だ。もちろん、少し気合を入れたドレスアップもありだが、悩んだらスマートカジュアル以上が無難である。
Mozart Dinner Concert Salzburg |
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モーツァルトが生まれる前から営業している老舗のパン屋さん
モーツァルトの時代の古い街並みが残るザルツブルク。中にはその時代から営業を続けているお店もある。そんな中、言葉に不自由のあるツーリストでも気軽に出入りできるのがベッカライ(パン屋)だ。
ザルツブルク最古のベッカライは、創業700年の聖ペーター修道院の敷地にある「シュティフツ・ベッカライ」だが、そこから10分ほど歩いたメンヒスベルク近代美術館の近く(Gstättengasse)にもモーツァルトが生まれる前から営業していた(?)と思われる「エルテステ ・ベッカライ」を見つけた。外壁に記された「1429年」は、なんとコロンブスがアメリカ大陸を発見した年である。
このベッカライ、どうやら2000年頃から15年ほどクローズしていたようで、現在はザルツブルクの他の場所に店舗を持つ家族経営のベッカライ(Bäckerei Ursprunger)が所有。モーツァルトも当時この場所でパンを買ったかどうかは定かではないが、白い石壁と小さな窓がある外観は開店当時のままなのだという。
気になって店内を覗いてみると、パンのショーケースにカウンター。何でも、もともと夜も営業してお酒も出していたお店のようである。現店主もライセンスなどの準備が整ったらオリジナルのように夜の営業(22時~4時)に前向きという話だったので、今頃は夜の営業が実現していて、夜遅くにお店を覗けばザルツブルクで面白い体験ができるかも知れない。
昼間はコーヒーやカプチーノなども提供されているようなので、ベッカライでクイック・ブレックファーストをすれば、ローカル気分が味わえるに違いない。また、アドヴェントの時期には、ザルツブルクの伝統的なクリスマス菓子も販売されているので、ちょっとしたお土産を探している人にもお勧めである。
次回は「チロル伝統の音楽とダンスを楽しむ」
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