昨今、航空業界でひそかに熱い商戦が繰り広げられているのが「ビジネスクラス」。長時間のフライトでも快適に過ごせるよう、座席や機内エンターテイメント、食事はもちろん、各社の持ち味を生かした上質なサービスの提供などに努めている。
今回の取材では、成田とヘルシンキ、そしてミュンヘンまで全区間、ビジネスクラスを利用。そこで特に長時間の移動で気になる成田とヘルシンキの区間を中心に、フィンエアーのビジネスクラスをご紹介することにしよう。
これがフィンエアーのビジネスクラス!
フィンエアーの場合、成田空港内に独自のラウンジを所有していないため、同じ「ONEWORLD」のメンバーであるカンタス航空のビジネスラウンジが利用できる。
カンタスビジネスラウンジがあるのは、搭乗ゲートのあるフロアの1つ下。案内に沿って進み、階段を下りてすぐの場所にある。出発を待つ飛行機が一望できるガラス窓に沿ったカーブ型の横長のラウンジで、ソフトドリンクからアルコール類、スープや焼きおにぎりなどの軽食も提供。シーズンや時間帯にもよるのだろうが、比較的空いているので空席も見つけやすく、静かで居心地の良いラウンジである。
機内でまさかのマッサージチェア!?
ラウンジでゆったりと寛いでから、搭乗開始の時間に合わせてゲートへと移動。するとそこには、すでに搭乗を待つ人たちの長い列ができていた。そんな場面でも、ビジネスクラスの乗客なら優先搭乗。出発時間まで機内で過ごす時間が長くなるのだから、それをメリットと捉えるかどうかは利用者次第ということになるが、やはり行列が回避でき、機内に持ち込む手荷物を素早く手放せ、幅広のシートに座ってウェルカムドリンク片手に出発時間を待てるというのは、これから始まる空の旅を優雅に演出してくれ、なかなか気分の良いものだ。
フィンエアーは60機以上の航空機を所有しているが、2017年1月現在、日本線にはエアバスのA330とA340機が導入されている。
よりプライバシーな空間が確保された本機材のビジネスクラスで特筆すべき点は、次世代のライフラットシート。マッサージ機能付きのZodiac社製「Vantage」フルフラットベッドシートが採用され、就寝時には全長200センチのフルフラットにできる。このフルフラットシートは特定路線でのみ提供されているが、嬉しいことにヘルシンキ=日本線は、成田、大阪、名古屋のいずれにも採用されている。ただし、運航上の理由により機材が変更になった場合は、搭乗便でフルフラットシートが利用できない事もあるという。
座席の配列は、奇数列が2-2-1で、偶数列が1-2-1。座席の位置が前列と互い違いになっているのも、窮屈な感じを与えない大きな要因だ。伸ばした足は前列のサイドテーブルの下に潜り込むようになっているため、機内エンターテイメントが楽しめるモニターにも手を伸ばして操作しやすい。また、近眼の筆者にとっては、画面までの距離もこの上なく有り難いポイントであった。
残念ながら取材時には機内でのWi-Fiは利用できなかったが、2017年6月から成田線への導入が発表されたエアバスA350-900型機では、Wi-Fiの提供(ビジネスクラスは無料)も可能になるそうだ。ちなみに新デザインの客室を導入したエアバスA350-900型機のビジネスクラスには、女性用のトイレも設置される予定だという。
女子心を鷲づかみにする北欧デザインで溢れるビジネスクラス
近年、フィンエアーの魅力を語る上で欠かせない要素の一つとなっているのが、フィンランドを代表するデザイン・カンパニー「マリメッコ」の存在。フィンエアーとそのマリメッコがコラボしたコレクション「Marimekko for Finnair」は、森や湖に代表されるフィンランドの自然や、空高く飛翔するイメージをインスピレーションしてデザインされており、青や緑、ライトグレーといった穏やかな色調が用いられているのが特徴となっている。
フィンエアーの長距離路線ビジネスクラスやエコノミーコンフォートでは、その特製アメニティキットが提供されている。アメニティキットが入ったポーチの柄は、マリメッコを代表する「ウニッコ」、大きな円形が印象的な「キヴェット」、ライトグレーに波柄が入った「シルッキクイッカ」の3種類が用意されている。
日本路線では日本発が「ウニッコ」で、ヘルシンキ発が「キヴェット」もしくは「シルッキクイッカ」だそうで、取材時の帰国便では「キヴェット」がセットされていた。
フィンエアーのビジネスクラスでは、テーブルウェアやテキスタイルにも「Marimekko for Finnair」が採用されている。機内にいながらフィンランドのデザインに囲まれ、フィンランドらしさが満喫できる点も、女子心がくすぐられる大きなポイントである。
白と緑を基調としたお洒落な枕とブランケットは軽量で肌触りも良く、「キヴェット」のスリッパも使わずに持ち帰りたくなる可愛らしさ。また、フィンランドを代表するデザイナーのタピオ・ヴィルカラが、ラップランドの氷が融ける様にインスピレーションを得てデザインした「イッタラ」のグラスも使用されている。
フィンエアー |
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