02. ハンガリー伝統の味覚

掲載日 : 2016年05月13日

写真 : 筆者撮影

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「グヤーシュレヴェシュ」はハンガリーの国民食


ハンガリー人のソウルフード「グヤーシュレヴェシュ」

今も昔も「至極の休日」に、美味しい食事は欠かせない。中でもその国や町の歴史や文化のバロメーターともなる郷土料理はプライスレス。ある意味「贅の極み」とも言える。

ハンガリーはヨーロッパにある多民族の国だが、そのルーツはウラル山脈を越えてきた私たち日本人と同じアジアの血を引く遊牧民族。その証拠にハンガリーの赤ちゃんには、日本の赤ちゃんと同じように蒙古斑がある。
そうしたハンガリーには伝統的にしっかりとした食文化が根付いて、そこに日本人も親近感の持てる要素や味覚がギュッと凝縮されている。

ハンガリー人のソウルフードと言えば、日本でも人気の牛肉と一緒にジャガイモや玉葱、ニンジンなどの野菜を、たっぷりの粉パプリカを加えてじっくり煮込んだ「グヤーシュレヴェシュ」。これは牛飼いの野外料理が起源とされ、大平原で暮らす羊飼いたちが昼食の際、屋外に設置した大鍋でワイルドに調理し、食していたスープである。

伝統的な鍋

屋外に設置した大鍋で
豪快に調理していた羊飼いたち

戦時中には移動部隊の食事にもなっていたというグヤーシュ。水気の少ないドイツ圏の“グラーシュ”(シチュー)に対して、本家本元のハンガリアン・グヤーシュはスープがたっぷり。この本場のコッテリとしたグヤーシュには、甘さが際立つ貴腐ワインが相性抜群である。

グヤーシュの味わいは地方や店により様々だが、最近では各都市でその違いを楽しむイベントも行われているという。グヤーシュ好きなら、ハンガリー旅行の計画時に押さえておきたいグルメイベントである。


そうしたグヤーシュの味の決め手となるのが、甘みがかったほのかな酸味と苦みを持ち合わせた、辛味の弱い唐辛子「パプリカ」。世界にはおよそ200種類ものパプリカが存在するが、ハンガリーではその半数以上の種類が生産されている。

パプリカにはビタミンCが豊富に含まれており、特に冬場はこのパプリカのピクルス(漬物)が、風邪予防のためのビタミン補給に欠かせないという。余談だが、ビタミンCを発見したのはハンガリー出身のセント・ジェルジ・アルベルトという生理学者。セント・ジェルジはこの発見と抽出の成功で、1937年にノーベル生理学医学賞を受賞している。

グヤーシュ以外にもパプリカが欠かせないハンガリー伝統料理には、「ホルトバージパラチンタ」や「レチョー」「トルトットパプリカ」「トルトットカーポスタ」「ヨーカイ バブレヴェシュ」に「パプリカーシュ チルケ」や「ボルユーパプリカーシュ」、それに「ハラースレー」など様々。まさにパプリカは、ハンガリー料理の「命」である!
 


お土産用のパプリカ パプリカのピクルス

左:かわいらしい布製の小袋に入ったお土産用のパプリカ
右:料理の付け合わせに出された黄色いパプリカのピクルス



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