05. ブダペストを食べつくす! 〈ブダ編〉
ショッピングついでに堪能するミシュラングルメ
日本では「センス良く盛りつけされた贅沢な料理を、単に美味しく味わうことがガストロノミー」と捉えられがちだが、ガストロノミーの本当の意味は文化と料理の関係を考察する〈美食学〉。だから、一般に想像するよりも、ずっとずっと奥が深い。
美酒が存在する国には、必ずといって良いほど美食も存在する。そうした点においても、古くから〈ワインの里〉として知られるハンガリーは、ガストロノミーを単純に楽しむにも、また深く追及するにも理想的なデスティネーションと言える。
今回取材をしたブダペスト市内のレストランの中で、最も料理とワインのペアリングにこだわったガストロノミーを提供していたのが、なんとブダ地区のショッピングセンター(Hegyvidék)の1階にある「タンティ」というお店だ。
2016年のミシュランガイドで1ッ星を獲得したこの店を率いるのは、バスク地方のミシュラン星付きレストランなどで腕を磨いたという若手シェフのヘイスラー・オリヴェール。ブダペストで育った若干28歳というから驚きである。
この店にはアラカルトだけでなく、3コース、5コース、7コースのコースメニューがあり、いずれにもコース単体だけでなく、ワインとのペアリング料金も設定されている。この日頂いたのは、アミューズからデザートまでの全5品。皿の数だけでお腹が苦しくなるという方もいらっしゃるかも知れないが、一つ一つのポーションが小さめなので、小食の日本人でもペロッと平らげてしまえる適量である。
こんなに素晴らしいワインが、わずかの追加料金で味わえてしまうのだから、このペアリングは一押し! とは言え、どんなワインがセレクトされるかはすべて料理次第、ということも頭の片隅に置いておこう。
この「タンティ」でもう一つ興味深かったのが、使用されているプレート。デザート以外の全てに、どこか和食器を彷彿とさせる色合いの、カーブで少し深みを持たせた皿が使われていることだった。
気になったので後で地元の人に尋ねてみたところ、最近ブダペストのハイセンスなお店では、こうした深さのある皿を使うのが流行り傾向にあるのだとか。
グヤーシュに代表されるように、ハンガリーは〈スープ文化の国〉。ハンガリーに存在するスープ料理のレシピは、数百とも千とも言われている。そうした食文化を持つハンガリー人にとって、汁物が入れられる深皿はとっても親しみを感じるものなのだという。
つまり、これも歴とした〈ガストロノミー〉なり、ということである。
タンティ Tanti |
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