06. ブダペストを食べつくす! 〈ペスト編〉
これぞ歴史に名を刻んだ名門レストランのサービス!「グンデル」
創業は1910年。過去に英国のエリザベス女王やエディンバラ公、オランダのベアトリクス女王、ローマ法王(教皇ヨハネ・パウロⅡ世)など世界各国の王族や政治家をはじめ、F1レーサーや映画俳優らも訪れている名門レストランで、すぐ横に動物園があることから店のロゴには〈象〉が描かれている。
この店では正真正銘のハンガリー料理から、さりげなくフランス風のテイストを加えたインターナショナル料理を提供している。ここの名物と言えば、チョコレートソースたっぷりの〈グンデルパラチンタ〉。「グンデル」の名を世界に知らしめた料理人グンデル・カーロイが考案したパラチンタであることから、こう呼ばれるようになった。
ハンガリーの料理史に名を刻むこの名店で使われている食器は、すべてハンガリーの名窯〈ジョルナイ〉のもの。夜はジプシーバンドも入り、食事と共に民族音楽の演奏も楽しめる。特に夜は予約なしの入店が難しいほどの人気ぶりで、ドレスコードも夜はフォーマル(もしくはビジネス)。男性はジャケット着用が求められる。
単にグンデルの味だけでなくエレガントな雰囲気も一緒に楽しむのであれば、ディナータイムの利用が適しているが、それでは肩が凝ってしまうという方には敷居が低くなるランチでの利用がお勧めだ。ランチタイムであれば、ドレスコードもスマートカジュアルで入店できる。但し、格式あるお店なので、昼も事前予約が望ましい。当日であっても、まず電話を1本入れてから来店するようにしたい。
こちらで頂いたのはアミューズに続き、スターターの〈雌鶏胸肉のスモーク ペッパーソース添え〉、メインの〈テンダーロインのグリル マッシュルーム添え〉、そしてデザートの〈チョコレートケーキ ラズベリー添え〉の4品。だが、この「グンデル」で特筆すべきは、特有のホスピタリティにある。
とにかく料理一つ運ぶにも、ウェイターが恭しい。皿の枚数に関係なく、サーブする際には大きなトレイを使用。しかも手押しのワゴンではなく、その都度折りたたみ式のトレイスタンドも持ち運ぶクラシカルな正統派スタイルである。
メインディッシュに至っては、クロッシュ(ドーム型カバー)をかぶせたまま運ばれてきた。でも、彼らの最大の見せ場はここから。テーブル全員分の皿が配置されるとウェイターたちがゲストの間に立ち、両脇に並んだ2つのクロッシュの頭を両手でつかんだと思ったら、ロールドラムのように揃ってカタカタ…と音を鳴らし始めた。
そして、ジャジャーン! 一斉にクロッシュを持ち上げると、目の前にまるで貴婦人のような〈その日の主役〉が姿を現した。
高級店と言えども、最近はこうしたサービスに手間をかける店をすっかり見かけなくなったが、この店では健在。伝統的に受け継がれていることに感動すら覚えた。単なる格式だけでなく、こうした一つ一つの彼らのもてなしの心が、世界のVIPに「グンデル」が愛され続けている大きな理由であろう。このグンデル流のおもてなしを、ぜひ皆さんにもご体験頂きたい!
グンデル・レストラン |
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